【謡】:「……オレも1個、聞いていいか?」
【凛】:「なに?」
【謡】:「お前、誰か大事な人が死んじまったのか?」
【凛】:「……相変わらず、遠慮なしな言い方ね」
【謡】:「しょーがねーだろ。これがオレだ」
【凛】:「まぁ、いいけど……どうして急に?」
【謡】:「さっき言ってただろーが。 大事な誰かが死ぬのは、もう見たくねーって」
【凛】:「ああ……そうね……」
【凛】:「……お母さんが死んだの。今年の夏」
【謡】:「今年の夏? ついこの間じゃねーか」
【凛】:「……そう。だから、ここに来たわけだし」
【謡】:「んだよ……そんな事、吟は一言も……」
【凛】:「それは……私がお母さんのことについて、何も言わなかったからだと思う」
【凛】:「悲しいとか、寂しいとか……そういう事を、何ひとつ言わなかったから……」
【謡】:「悲しくなかったのか?」
【凛】:「……分からなかったの。悲しいのか、寂しいのか」
【凛】:「お母さんが私にとって、大事な人なのか、そうじゃないのか……。自分の気持ちが、よく分からなかった」
振り下ろされた刃は、私を貫くはずだった。
【詠】:「凛!!」
けれどその直前。私の前に詠が立った。
そして……
【詠】:「ぐぁっ!!」
(え……?)
詠の背中越しに、鈍い衝撃が伝わってくる……。
衝撃を受けた詠がそのままずるずると詠は地面に倒れ込んでしまった。
詠の手から武器が零れ、どさりと倒れ伏した。その身体から流れ出した血が、地面を汚していく……。
【詠】:「う……」
【凛】:「詠……詠……! し、しっかりして……」
血の臭いが鼻を突く。
【紅蓮】:「ふん、手間をかけさせおって……。女を庇って死ぬなら、本望であろうが」
冷酷な声で、紅蓮が吐き捨てる。
(そんな……どうしてこんな……)
庇ったつもりだったのに……。絶望に、私の身体は震えていた。
詠は薄らと目を開けて、私を見る。
【詠】:「……馬鹿……危ない事するなって……あれほど言ったのに……」
【凛】:「ごめんなさい……ごめんなさい詠。しっかりして……お願いだから……」
どうすれば、この血を止められる? 詠を助けられる?
恐怖と混乱と、罪悪感で震える私の手に、詠の血まみれの手がそっと触れた。
【凛】:「……ん……」
(……あれ? あたし、どうしたんだっけ?)
(ゼリーを食べてから、しゅくだいをやって……)
(……そっか、そのあとねむくなって、ねちゃったんだ)
【???】:「……すー……すー……」
(なんの音?)
【吟】:「すー……すー……」
(吟さん? どうして、あたしのとなりでいっしょにねてるの?)
【吟】:「……すー……」
(おばあちゃん、2人で仲良くおるすばんしてねって言ってた)
(……これって、仲良くおるすばんになるかな?)
【凛】:「…………」
(……もう少しだけ、吟さんといっしょに、おひるね……)
(だって、仲良くおるすばんしなくちゃいけないんだもん……)
【萩之介】:「ごめんごめん! 嬉しくて泣いてる凛も可愛いなぁって思っちゃってさ」
【凛】:「また、簡単にそういうこと……」
【萩之介】:「簡単じゃないよ。……俺が可愛いって思う女の子は凛だけ」
【萩之介】:「……俺が好きなのは、君だけだ」
【凛】:「………バカ」
【萩之介】:「うん、俺バカなんだ。……バカだから、凛のことしか考えられない」
ふわっと優しく萩之介の手が伸びて、私の頬に触れた。
(大きくて、温かい手……)
【萩之介】:「もう、逃げたらダメだよ。ちゃんと、俺の手の届くところにいて」
【凛】:「……うん」
高鳴る鼓動を感じながら、小さく頷く。
そして、大好きな人の手にそっと自分の手を重ね合わせる。
すると、ゆっくりと萩之介の顔が近づいてきて……
(あ、今度は……オデコじゃないんだ)
そんなことを考えながら、私は静かに目を閉じた
【凛】:「真夏さん、つー君だけじゃなくて小さな子どもも好きですよね」
【真夏】:「うん、好きだよ。あの真っ直ぐな笑顔を見てると、なんだかこっちも笑顔になるんだよね」
【凛】:「私、真夏さんだったら絶対に良いお父さんになると思うんですけど、結婚しないんですか?」
【真夏】:「んー……結婚はしないかな」
【凛】:「どうしてですか?」
【真夏】:「ずっと、ずっと昔に好きになった人がいて、今も、その人が好きだから」
(真夏さん、好きな人がいるんだ)
【凛】:「……どうしてその人の所に行かないんですか?」
【真夏】:「その人は、何度も俺のせいで辛い目にあった。だから、見守っていることにしたんだ」
【凛】:「そんな……。いつまで見守っているつもりなんですか?」
【真夏】:「ずっとだよ。ずっと。俺が死んでも、また来世でも、ずっとずっと見守る」
【真夏】:「その人が幸せになれるように、ずっと」
(ただ、見守るだけだなんて……)
【凛】:「寂しくないですか? 大好きな人が、側にいないだなんて……」
【真夏】:「寂しくないよ。彼女と過ごした日々は、俺の中に残っているからね」
【真夏】:「俺の側にいても、彼女が寂しい思いをするだけだ。それなら、遠く離れていてもあの子が幸せでいてくれた方がずっと良い」
【凛】:「辛くないですか? 見ているだけで何も出来ないなんて」
【真夏】:「辛くはないよ。あの子の泣き顔を見る方が、ずっと辛い」
【真夏】:「俺は、彼女が幸せになっていてくれたら、それだけで十分なんだ」
【真夏】:「彼女が好きな人と手をつないで、大切な家族が出来て、少しずつ歳をとって……」
【真夏】:「笑いながら老いていくその姿を、見守っているだけで幸せなんだ」
(真夏さん、幸せそうに笑ってる。本当に、そう思ってるんだ……)
【真夏】:「……でも、その人は真夏さんのことをどう思っているんですか? その人も真夏さんのことが好きだったら……」
【真夏】:「それはないよ」
【真夏】:「その人は、俺のことを覚えていないから」
(覚えてないって……どういうこと?)
【凛】:「あ、あの……」
【綴】:「まーくん、おねえちゃんっ」
【真夏】:「ん? どうしたの、綴」
【綴】:「……これ、2人にあげる」
【凛】:「可愛いお花だね、もらって良いの?」
【綴】:「うん……2人とも悲しい顔してるから」
【真夏】:「ありがとう。ごめんね、ちょっとだけ元気なかったけど、綴のおかげで元気出たよ」
【綴】:「えへへ……」
【真夏】:「ちょっと、話し過ぎたね。もう帰ろうか。吟も心配しているだろうから」
【凛】:「はい、そうですね。つー君、お家に帰ろっか!」
【綴】:「うん、まーくんとおねーちゃんと、手繋いで帰る」
【真夏】:「ははっ、綴の手は小さくて可愛いなぁ」
(……真夏さん、いつも楽しそうに笑ってるからそんなこと考えてたなんて、全然知らなかった)
(真夏さんの好きな人って、どんな人なのかな……)
蘇芳が一歩、私に近づく。
釣られて、顔を上げた瞬間ーー……
【凛】:「きゃっ……!」
【凛】:「す、蘇芳!?」
【蘇芳】:「一緒にいたい……? 戻って来てほしい、だと?」
(あ……。蘇芳の、指が……私の首に……!)
【蘇芳】:「ニンゲン風情が偉そうな事を言うな。おれはお前なんか大嫌いだ。殺したいぐらい大嫌いだ!」
(うっ……く……苦しい! 首が……息が出来ない……っ)
【蘇芳】:「……フン。脆いもんだな。少し力を入れただけで……あっさり死ぬ」
【蘇芳】:「ニンゲンなんて……脆いものだ」
【凛】:「……っ……! ……す……おう……っ!」
【蘇芳】:「…………」
ムリやり声を絞り出して、彼の名前を呼ぶ。すると……
(……? 蘇芳の手が……震えている……?)
(蘇芳……? 恐れているの……?)
(いったい、何に対して……?)
私は、おそるおそる、私の首にかけられた蘇芳の手に……触れる。
【蘇芳】:「……? なんの真似だ」
【凛】:「私は……蘇芳のそばに、いるよ……」
【蘇芳】:「……っ?」
【凛】:「蘇芳が、私を嫌いでも……私は……蘇芳が好きだから……」
【蘇芳】:「……っ……」
【神様】:「やれやれ、年寄りにはこの山道がこたえるのぅ」
(見た目とセリフのギャップがすごい……。神様って、本当はいくつぐらいなんだろう?)
【神様】:「……ほれ、ついたぞ」
(あ……。夕日に染まって、桜が真っ赤に燃えてる……)
(この桜を見てると、胸が張り裂けそうなほど悲しくなるのは、どうしてなんだろう)
(あれ? 桜の木の下に誰かいる?)
【???】:「…………」
(桜の木を見上げて、何してるんだろう)
【???】:「…………」
(あっ、目が合った!)
【???】:「……こんにちは」
【凛】:「こ、こんにちは」
【???】:「もうすぐ日が暮れる。……君は早く家に帰ったほうがいい。それじゃあ、僕はこれで」
(今の人、誰だろう? ドキリとするような、優しい微笑みだった……)
【神様】:「ほれ、凛。こっちに来い。ぼんやりするでないぞ」
【凛】:「あ、は、はいっ!」
【神様】:「……ふむ、今日も見事に満開じゃのう」
【凛】:「神様は、この桜のこと何か知ってるんですか?」
【神様】:「そうじゃのう……、時が来たら、お前さんにも分かるはずじゃ」
【神様】:「その環境はすでに整っておる。後は、お前さんの行動次第じゃよ」
【凛】:「あの、私の行動次第って……」
【神様】:「そうじゃのう、一日一善という言葉があるように良い行いをして過ごすのはどうじゃ?」
【神様】:「例えば、わしの社に吟の作ったうまい飯を届けに来るとかのぉ……ふぉっふぉっ!」
【凛】:「それって、神様が食べたいだけですよね」
【神様】:「うむ、そうとも言えるな!」
(……なんだか上手くはぐらかされた気がする)
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【謡】:「うわ、すげーご馳走じゃん!」
【吟】:「今日は、凛ちゃんのお帰りなさいパーティーだからね」
【詠】:「……」
【綴】:「……玉子焼き、黄色くてきれい」
【凛】:「あっ、それね、私が焼いたの!」
【綴】:「…………きれい」
【吟】:「ふふっ、料理の腕前はなかなかのものだったよ。さすが、スミさんのお孫さんだね」
【凛】:「ふふっ、褒められると照れちゃうな」
【詠】:「……俺、1人で食べるから。ニンゲンと一緒に、飯なんて食いたくない」
【凛】:「……詠」
【吟】:「詠、それは約束が違うでしょ? おいしいごはんは、みんなで食べる。……それが、この家の決まりだ」
【詠】:「…………はぁ、分かったよ。なら、さっさと食べて部屋に戻る」
【吟】:「凛ちゃん、いただきますの前にみんなですること覚えてる?」
【凛】:「みんなですること? ……あっ! お手てぱっちん?」
【吟】:「ふふ、そうだよ。正解! この家では今でも続けてるんだ」
【凛】:「ふふっ、そうなんだ。久しぶりにできるのすごく嬉しい」
【吟】:「……それじゃあ、みんな準備はいいかな?」
【謡】:「おう!」
【詠】:「……」
【綴】:「……うん」
【吟】:「お手てぱっちん! いただきます」
【謡】:「いただきます!!」
【綴】:「いただきます」
【詠】:「……いただきます……」
【凛】:「いただきます!」
(久しぶりにみんなで食べるごはん。久しぶりだから……嬉しいな)
【吟】:「それから、こっちの2人が謡と詠。彼らは訳あって、うちで預かってる狛犬のあやかしなんだよ」
【凛】:「えっ、狛犬?」
【謡】:「……なんだよ、その顔」
【凛】:「狛犬って、もっと怖い顔してるイメージがあったけど、2人はあんまり怖くないなーと思って」
【謡】:「あのなぁ、これはニンゲンに化けてるだけでオレ達の本来の姿っつーのは、すげーんだからな!」
【凛】:「へぇ~」
【謡】:「へぇ~って、お前……少しも信じてねーな?」
【凛】:「だって、2人とも、普通の人間にしか見えないもん」
【謡】:「よーし、分かった!そこまでいうのなら、オレ様の本来の姿をっ……」
【詠】:「謡、やめろ。今、見せてどうするんだよ」
【詠】:「それに、こんなところで変化したらこの家がどうなるかぐらい、分かるだろ」
【謡】:「……チッ、仕方ねぇな」
【凛】:「私、あやかしのことはあんまり詳しくなくて……でも、これから2人のことも、綴君のことも知っていきたいって思ってるよ」
【凛】:「謡も詠も、よろしくね!」
【謡】:「ふん、勝手にしろよ。吟が決めたことに、オレ達は逆らえねぇしな」
【詠】:「…………」
【凛】:「詠、よろしく!」
【詠】:「…………」
(今、あからさまに顔を背けたよね?)
【凛】:「ちょっと、挨拶してるんだから一言ぐらい、返してくれてもいいんじゃない?」
【詠】:「…………」
(むぅぅぅぅ!)
【詠】:「いっ、いたたたっ! な、なにするんだよっ!」
【凛】:「頬でも抓れば、喋ってくれるかと思って」
【詠】:「な、なんて乱暴な女だ……。これだから、ニンゲンは嫌いなんだよ」
【詠】:「ガサツで自分勝手で、思い通りにならないと、暴力を振るう。……本当、最低だ」
【凛】:「ちょっと! 私のこと、知らないくせに決めつけないでよ!」
【詠】:「……………」
【凛】:「って、また無視!?」
【詠】:「うるさい!」
【吟】:「まったく、詠も謡も……。今日から、彼女も大事な家族の1人だっていうのに……。ああ、そうだ!」
【吟】:「実は、彼女のおもりを2人のどちらかに頼もうと思ってたんだけど……今、決めたよ。凛ちゃんのおもりは、詠」
【詠】:「はあ!?」
【吟】:「詠に任せることにしよう」
【詠】:「な、なんで俺がっ!」
【凛】:「吟さん、私も大丈夫だよ! もう高校生なんだし、おもりなんて……」
【吟】:「君が子どもだから言ってるんじゃない。紅葉村は一見平穏に見えるけど、あやかしと人間が 絶妙なバランスで共存する村なんだ」
【吟】:「村人とならまだしも、外部から来た人間に悪いあやかしが興味を抱かないとも限らない」
【吟】:「あやかしから君を守れるのは、謡と詠のように、強い力を持つあやかししかいないんだ」
【詠】:「……だったら、謡でもいいだろ。こいつのおもりなんて、絶対にイヤだ」
【凛】:「むぅ……」
【吟】:「僕もそう思ったんだけどね、謡にまかせると色んな意味で危ない気がして……」
【詠】:「…………」
【吟】:「頼まれてくれるよね、詠」
【詠】:「……はぁ、分かったよ。やればいいんだろ、やれば」
【蘇芳】:「………ふにゃぁぁぁ~~……」
【蘇芳】:「なんだ、もうこんな時間ではないか。つい、うとうとと寝てしまったな」
【萩之介】:「みんな、今日はこれで解散……」
【萩之介】:「花、起きたのか! って、ぷはっ! は、花! その顔っ……」
【蘇芳】:「……顔? なんのことだ?」
【凛】:「あ、花君! 起きたんだ……っ、ぷぷぷ!」
【蘇芳】:「お、おれの顔を見て笑うとは、無礼にも程があるぞ!!」
【萩之介】:「ご、ごめん! でも、でもっ……」
【謡】:「おーい、何やってんだよ。さっさと帰ろうぜ……ぶはぁっ!」
【謡】:「あははっ! な、なんて顔してんだ! やべー、腹いてぇ!」
【蘇芳】:「お、お前ら、いい加減にしないとっ」
【凛】:「は、花君っ……これ、鏡みてっ」
【蘇芳】:「鏡?」
【蘇芳】:「………………」
【蘇芳】:「う、うにゃーーーっ!?」
【蘇芳】:「なっ、なんだ、この落書きは! だ、誰だ! おれの顔に書いた奴はっ!」
【謡】:「へ、変化とけてねーのに……ひ、ヒゲがっ! ぶはははっ!」
【蘇芳】:「ぐ、ぐぬぬっ……洗ってくる!!」
【萩之介】:「はー……笑った笑った。いつの間に、あんな落書きされたんだろうな?」
【謡】:「あのバカ猫も、たまにはおもしれーことすんじゃねーかよ」
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【謡】:(やばい……緊張して柄にもなく脚が震える……!)
【生徒1】:「ああなんて美しいんだろう! 死んでるなんて信じられないよ」
【生徒3】:「白雪姫を土に埋めるなんて、出来ない……。このまま眺めていたい」
【萩之介】:「うん、いい感じだな……いよいよクライマックスだ」
【萩之介】:「それじゃあ謡、出番だよ! 頑張って。期待してる」
【謡】:「へ、変なプレッシャーかけんな!」
【萩之介】:「いいからほら、急いで行って!」
【謡】:「うわあっ!?」
【謡】:(う……うわああぁ……。すげー見られてる。全校生徒に見られてるぜ、オレ……)
【謡】:(こんな中で、白雪姫に……凛に、せ、せ、せっ……せっぷん……)
【謡】:(くそ、こんなの、ただの芝居だ! 余計な雑念を払うんだ、オレ!!)
【謡】:「お、お、お、オレは王子だぞ。ひ、姫はどこだ!?」
【生徒1】:「え? えぇと……この棺の中です」
【謡】:「そ、そうか。ああ、かわいそうな白雪姫。今、私が、目覚めさせてあげましょう」
【謡】:(よし……。こ、この棺の蓋を外して、そして……!)
【謡】:「…………あ?」
【詠】:「…………」
【謡】:(変だな……。緊張のせいか、姫が詠に見える)
【詠】:「うおらっ!!」
【謡】:「ごふっ!?」
※画像にカーソルを合わせると差分が表示されます。
【生徒1】:「もちの準備、こっちは完了だ!」
【生徒3】:「よーし、やってやるぜぇ~!」
【吟】:「いいねぇ。生徒のみんな、すごくはりきってて……いつ見ても気持ちがいい」
【綴】:「ぺったん、ぺったん……」
【真夏】:「味付けもたくさんあるんだなぁ。からみもち、きなこもち、あんこもち……」
【謡】:「うおおおおおお!!」
【真夏】:「こ、この流れを一切無視した叫び声は……」
【謡】:「おいしょー!」
【萩之介】:「よいせー!」
【謡】:「よいしょー!」
【萩之介】:「ほいさー!」
(2人一緒に餅つきはいいけど、張り切りすぎて、ちょっと心配ね……)
【蘇芳】:「んむんむ。うまい」
【凛】:「蘇芳はやらないの? もちつき」
【蘇芳】:「イヤだ」
(……相変わらず、はっきり言うのね)
【蘇芳】:「あんなの、体力バカに任せておけばいい。ほら、凛。もちが足りんぞ」
【凛】:「はいはい……」