あやかしごはん公式ブログ

メリークリスマス!

メリー!
めりー
クリスマース!!!
…………。
おい詠! お前も何か言えよ!
何かって何だよ。
うーん……。
よく考えずとも、これ以外に言うことはないな。
謡が「クリスマス」って言っちゃうからだよ?
な! オレのせいか!? ……~~っ、なら仕方ない! もう一回だ!! せーのっ


 メリークリスマス!!!





どうもどうも中村です。


今日はクリスマスですね!

……と、言う事で、本日のあやかしごはんブログも気分全開でお届けしたいと思います!


クリスマスプレゼントになればいいなと思い、
クリスマスにちなんだSSを用意してみました。


ネタバレ要素はないので、皆様に読んでいただけるように、
今回はブログでお届けします。


では、ごゆっくりどうぞ~!


-------


Christmas Party


居間でわいわいとクリスマスパーティーの準備をする息子達に、つい頬が緩む。
詠が折り紙に折り目をつけて、彼女がそれに沿って細長く切り、謡がのりをつけたものを綴がわっかにして繋げている。
その流れ作業の成果は見れば明らかで、テーブルの上にはカラフルな鎖が続々と出来上がっていた。

(クリスマスか……)

クリスマス。
僕が初めてクリスマスを知ったのはずっと昔のことで、きっかけなんて覚えていないけれど。
初めて祝った日のことは、思い出す必要もないほどよく覚えている。
富蔵さんとスミさん。
それから、僕。
目の前に広がるような賑やかな光景ではなかった。
もっと寒くて、だからこそ暖かさが身にしみて、泣きたくなったものだ。

「吟ちゃん、クリスマスって知ってる?」
この日を想うと、いつもスミさんのこの言葉で始まる。
とても寒い日だった。
こたつに入ってみかんを剥きながら、帳簿をつけるスミさんを、意図がわからない僕はじっとみつめる。
「外国のお祭ですよね。キリストの誕生日を祝う日」
「ほらな。吟は賢いから、知ってるはずだと言っただろう」
新聞から顔を上げて、富蔵さんがニッと笑う。
僕はその屈託のない笑顔が好きで、スミさんもきっとそうだったのだろう。
そうね、と慎ましく手で口を覆って笑う。
「知ってるなら話は早いわ。ねえ、吟ちゃん。クリスマスパーティーしない?」
「パーティー……ですか?」
「ええ、そう。いつもよりちょっぴり贅沢なごはんを用意して、みんなで楽しく食べるの。どうかしら?」
「どうって……」
それは、いつもの食事とどう違うのだろう。
スミさんの作ってくれるごはんはいつだっておいしくて、富蔵さんと三人で話しながらとる食事はいつだって楽しい。
「無理にやらなくたっていいんだぞ。去年まではそんなことやっていなかったんだからな」
今度は新聞に視線を落としたままで、富蔵さんが言う。その言葉に重さはなくて、本当にどちらでも気にしていないように聞こえた。
だからわずかの間、考えて。
「クリスマスパーティー、僕もやりたいです」
なるべく二人の意向に沿えるように、と考えて出した僕の返事に、スミさんは嬉しそうに頷いてくれたのだ。

あの夜の献立もよく覚えている。
肉じゃがと、きのこの炊き込みご飯と、野菜がたっぷり入った具沢山な味噌汁。
それに魚の煮付けと、分厚いホットケーキに果物を盛ったデザート。
和食の中ではちみつがかかったホットケーキだけが浮いていたけれど、それが逆に特別な感じもして、妙な気分だった。
「ふぅ、お味噌汁おいしいわ」
「おお、今日のは吟が作ったのか」
「そうなの。日に日においしくなるから、すぐに私を追い越しちゃいそう」
「そんな。まだまだですよ」
会話をしながら口に運ぶ料理は、変わらずおいしくて優しい味がした。
団欒の中、急に富蔵さんが立ち上がったのは、食後のホットケーキも食べ終わる頃だ。
「クリスマスプレゼントだ」
富蔵さんに真っ赤なリボンでくくられた紙包みを手渡された。
え、と言う間に寒い寒いとこたつに足を入れた富蔵さんがもう一度僕に顔を向ける。
「開けてみろ」
「…………」
恥ずかしながら、その時の僕は咄嗟にお礼の言葉も出てこなくて。
初めて人に化けたのかと笑われるくらいぎこちなく、リボンに手をかけた。
包みの中身はエプロンだった。
「吟ちゃん、よく家のことをやってくれているから。ありがとうと、おつかれさまと、これからも頼りにしてるよ、っていう気持ちも込めてね」
「あ……ありがとうございます」
「なんだなんだ、これくらいで驚き過ぎだぞ……」
富蔵さんが困ったように笑う。
スミさんが手ぬぐいを差し出してくれて、やっと僕はポタリと落ちるものに気がついた。
お茶碗、お箸、布団……。
この家に来てからいろいろなものを与えられた。
でもそれらは一方的な加護を受けている証のようで、嬉しさの片隅にある申し訳ない気持ちが捨てきれなかった。
「そんなに喜んでくれて嬉しいわ」
でも、これは違う。
「嬉しいです……ううっ」
「男が泣くな」
「あらあら」
富蔵さんが苦笑して、スミさんが背中をさすってくれる。
許される限りでいい。温かくて暖かいこの家に、ずっといたいと改めて思った。


「パパ」
綴が、つい、とエプロンの裾を引っ張った。
「わっかできた。一番たかいところ、うーちゃんとよーちゃんもとどかないから、パパにおねがいしようって」
見れば、綴の後ろには色とりどりの折り紙がずらりとくっついてきていた。
「ふふっ、わかったよ」
濡れた手を拭って、綴の頭を撫でる。するとふわふわの髪の下でくすぐったそうな顔をしてから、へらりと笑って僕を見上げた。
「楽しみだね、クリスマスパーティー」
「そうだね」
謡の大きな笑い声がする。
そこに詠の注意が飛ぶ。
きっと彼女は、スミさんと富蔵さんの面影がある笑顔で呆れているのだろう。
(僕は、今もここにいます。ずっとずっと、いたいです)
綴に手を引かれながら、僕はみんなが待つ居間へと足を向けた。
楽しいクリスマスパーティーの開始まで、あと数時間だ。


-------


いかがでしたでしょうか。

ぽんぽこりんの皆の楽しい雰囲気が少しでも伝わればいいなと思います。

そして、本日であやかしごはんブログ今年の更新は最後になります。
次回の更新は、1月15日に更新したいと思います。


今年はあやかしごはんの企画発表に、ゲームの発売と
あやかしごはん一色の一年だったような気がします。


来年もあやかしごはんのブログを更新して行きたいと思いますので、
来年もよろしくお願いします。


ぽんぽこりんメイトの皆様に喜んでいただけるようなご報告ができるように
来年も精進していきたいと思います。


今年一年ありがとうございました!


来年もよろしくお願いします!




それでは~





真夏、飲み物足りてる?
うん。いっぱいもらってるよ~。
あ、吟さん。神様のグラスが空きそうです。
かみちゃん、飲みすぎ……。
そんなつれないこと言うでない綴。ほーれ、シャンパンもう一本じゃー。
うわぁ、悪酔いしちゃってる。私、お水持ってくるね。
綴君の言うとおりね。神様、ほどほどにしておいたほうがいいですよ。
……クリスマスケーキ、おいしい……。
<< 1 >>

上へ