リンゴ飴を買う黒沢さんを置いて、すぐ近くのかき氷屋さんで、イチゴ味のかき氷を買って食べながら歩く。
【美羽】「いただきまーす」
【忍】「一気に食べ過ぎないように気をつけ……」
【美羽】「んー! 頭がキーンとした!」
【忍】「遅かったな」
【美羽】「でも、かき氷初体験が出来て嬉しい!ねえねえ、舌赤くなった?」
んべ、と黒沢さんに見せてみると、彼は穏やかに微笑んだ。
【忍】「確かに赤いな。リンゴ飴を食べたらもっと赤くなるんじゃないか?」
【美羽】「それがやってみたかったんです。
友達の菫が前に話してて、いいなーって思ってて」
かき氷とリンゴ飴をぺろりと食べ終えると、
次はたこ焼きと焼きとうもろこしを買う。
【忍】「さすがに食べ過ぎだろう」
【美羽】「大丈夫ですよ〜」
歩きながら焼きとうもろこしを食べ、食欲を満たしていく。
【忍】「まったく……柊は相変わらず大食いだな」
【美羽】「その分運動してるからいいの」
【忍】「お前も成海みたいな事を言うんだな」
【美羽】「考え方が似てるのかも」
今度はたこ焼きを口にしながら、もう次の屋台に視線を移す。
【美羽】「おいひぃ!」
【忍】「……」
【美羽】「ん? どうしたんですか? 何かついてます?」
【忍】「……ふっ。いや……さっきから
口をもごもごと動かして食べるから、
まるでリスみたいだな、と思ったんだ」
【美羽】「ええ!?」
【忍】「頬袋に詰め込んでいるみたいだな」
【美羽】「違いますー!」
黒沢さんが声を立てて笑うから、ふい、と顔を逸らした。
【美羽】「あ! あれが射的ですね」
【忍】「ああ」
【美羽】「有紀と勝負した事があるんですよね。得意ですか?」
【忍】「どうだろうな」
【美羽】「じゃあ、私と勝負してください!
昨日、雅さんの話を聞いてから、やってみたかったんです」
【忍】「分かった、分かった。その前に手にあるものを全部食べてからだ」
言われて、私は最後の一個をぱくりと食べてしまう。
【美羽】「もう食べました! さあ、行きましょう!」
そんな私を見て、黒沢さんは驚いていたけど……
【忍】「……くくっ」
次の瞬間には、声を立てて笑っていた。