【誉】「僕の銀河系の中心は手を伸ばせば……ほんの少し手を伸ばせば触れられる所にあるのにな……」
【主人公】「…………」
【誉】「僕の特別は何億光年も離れた場所じゃなくて……ココにあるんだ……って」
【主人公】「部長……」
星を見上げながら部長はひとつひとつの言葉を丁寧に紡ぎあげていく。
ただただその声は優しくてもっともっと聞いていたい気持ちになった。
【主人公】「私は…弓道部は部長にとって特別な場所になれていますか?」
【誉】「ふふ……当たり前だよ。僕にとってとても大切で特別な場所だよ」
【主人公】「部長…」
【誉】「ごめん、ごめん。難しい話をしちゃったね。気にしないで」
【誉】「ただちょっと……そう、テレパシーみたいに君に伝わらないかなって」
【主人公】「えっ!? 何がですか?」
【誉】「ふふ、内緒…」
【主人公】「部長っ! …親しい間柄なら、目と目で通じあうとか以心伝心とかって言いますよね」
【誉】「え? ……あぁ、うん。そうだね」
この2年間、部長とは弓道部で一緒だったし、わからないなんて言いたくないな。
でも、うーん……。『宇宙と同じくらい興味深くて、おもしろい』?
【主人公】「……」
【誉】「君を……困らせたかったわけじゃないんだ」
【主人公】「……え?」
ぐるぐる考えこむ私に、優しい声が降ってきた。
顔を上げれば、優しく笑う部長と目が合う。
すると部長は私の頭に手をおきいつものようにいいこいいこをする。
【主人公】「部長…」
【誉】「あんまり考えなくて良いんだよ。ごめん、変なこと言っちゃったね」
【主人公】「そんなこと……」
【誉】「今度、一緒に流れ星見れたらいいね」
【主人公】「はい!」
そっと頭に載せられた手が離れる。
少しくすぐったいような寂しいような気持ちになった。