【主人公】「ふふふっ」

【龍之介】「いきなり何を笑ってる?」

【主人公】「ご、ごめん! 宮地君が持っているものが見えて……」

【主人公】「ふふっ。甘いものばっかり」

【龍之介】「ち、違う! これは買わされたんだ! 俺の意志とは無関係だ!」

【主人公】「ふふっ。そういうことにしておいてあげるね」

【龍之介】「お前ってやつは……。本当に反省してるんだろうな?」

眉間に深いシワを寄せると、宮地君は綿飴をパクッとかじる。

その瞬間、仏頂面だった宮地君の顔が何ともいえない幸せそうな笑顔に変わる。

【主人公】「ふふっ」

【龍之介】「今度は何だ?」

【主人公】「宮地君があんまり美味しそうに食べるんだもん」

【龍之介】「お前、全然反省してないだろ?」

【主人公】「ごめんなさいっ!! 反省してます!」

【龍之介】「もういい。それと、じっと見るな。見られていると食べにくいんだ」

【主人公】「おいしそうだなって思って……」

【龍之介】「ふぅ。しょうがない。食うか?」

【主人公】「本当?! ありがとう!」

目の前に差し出さるふわふわの綿飴。私は反射的にパクッと一口食べた。

【主人公】「おいしい!」

【龍之介】「お、お、お前……な、何やってんだ!」

【主人公】「えっ!? あっ……」

【龍之介】「普通、自分の手に持って食うだろうが」

【主人公】「あっ……つい……」

【龍之介】「ふぅ……お前の行動は心臓に悪い」

【主人公】「ご、ごめんね。でも、これすごく甘くておいしいね。宮地君の頬が緩む理由が分かるかも」

【龍之介】「ふっ。おいしそうに食べるのはどっちだよ。気に入ったなら、もっと食べていいぞ」

【主人公】「わーい! いただきます!」

【龍之介】「ただし、今度は自分で持って食べろ。ほら……」

【主人公】「はーい」

綿飴を受け取ろうと宮地君に近付いたその時——

【龍之介】「っ……」

【主人公】「あっ……」

ふいに宮地君と顔が近付いた。

真正面から目が合ってしまい、一瞬動けなくなる。

心臓がドキドキと高鳴って破裂しそうだった。

【龍之介】「す、すまん!」

【主人公】「ご、ごめんっ!」

ほぼ同時にパッと目をそらす。

お互い、顔を真っ赤にさせていた。

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