【羊】「Bonjour。それとも、そっちはBonsoirかな?」
【月子】「羊君! 電話ありがとう。ふふ、こっちは夜の8時だよ。今アメリカだっけ? そっちは朝?」
【羊】「Oui、こっちは朝の6時だよ。星が隠れて、キレイな朝日が昇ってきたところ」
久しぶりに聞く羊君の声。
優しい言葉は変わってなくて、それが胸をくすぐる。
【羊】「さっきまで、徹夜で星の観測をしてたんだよ。今は家に帰る途中」
【月子】「今日の観測はどうだった? アメリカの星もきっとキレイなんだろうな」
【羊】「星はキレイだったけど、やっぱり君の方がずっとキレイだよ」
【月子】「羊君……」
羊君らしい言葉なんだけど、それでも恥ずかしい。
頬が赤くなっていくのが分かる。
【羊】「ふふっ、月子、今、真っ赤になってるんだろうな」
【月子】「もう、羊君のいじわる!」
【羊】「だって僕は、真っ赤になって照れている君も好きだもん。しょうがないよ」
【月子】「羊君は相変わらずだな」
【羊】「ふふっ、そんなに簡単に変わったりしないよ。そっちは最近、どんな感じ? 学園は相変わらずなの?」
【月子】「もうすぐ、文化祭があるよ」
【羊】「文化祭? それは楽しそうだね!」
【月子】「うん、あのね……」
私は文化祭で喫茶店をやる事や、
その喫茶店で錫也がシェフを務める事、
それとは別に、先生達のコスプレ衣装を作る事になった事……、
そんな近況を話す。
【羊】「いいなぁ。錫也がシェフなら食べに行きたいな」
【月子】「ふふっ、羊君らしいね。錫也に伝えておくよ」
【羊】「だって、こっちに来た今でも錫也のご飯が恋しくなるもん」
その言葉に思わず笑ってしまう。
【月子】「錫也きっと喜ぶよ」
【月子】「あっ、そういえば、文化祭にはスターロードっていうのがあるんだよ」
【羊】「スターロード……? それって何?」
【月子】「あのね……中庭に設置されるスターロードを好きな人と一緒に歩くと、両想いになれるんだって」
【羊】「へえ、それは素敵だね! でも、僕たちはもう両想いだから関係ないのかな?」
【月子】「うーん、どうなんだろ……。でも、何か御利益があったりして」
ううん、ご利益なんてなくてもいい。
羊君と一緒に歩けたら……、
それだけで幸せだから。
羊君と一緒に、文化祭を過ごしたいな。