まだ心臓がドキドキしてる。私を抱きかかえる哉太の手、すごくたくましかった……。赤くなった顔を隠したくて、私はうつむいた。

【七海】「消毒薬とガーゼと……あった、包帯!」

【月子】「本当にただのかすり傷だから、水で洗って絆創膏貼っておけば大丈夫だと思う」

【七海】「バカ。お前の体に傷でも残ったら大変だろ。俺に任せとけ。悪いようにはしねぇから」

【月子】「哉太…包帯の扱い、上手だね?」

【七海】「まぁな。入院生活と病院通いが長かったからさ、看護師の見よう見まねで覚えた」

【七海】「おかげで、この通り! どうだ? なかなかの包帯さばきだろ?」

【月子】「うん! 完成度高い! ははは! 病院でも哉太の周りは賑やかだったんだろうな」

【七海】「お前や錫也が毎日見舞いに来てたしな」

【七海】「おかげで、入院してることあんま実感できてなかったかも」

【七海】「だから、すげぇ嬉しかった……」

【七海】「あのさ、……ごめんな」

【七海】「俺が早くお前に気づいてやれてたらこんなことにはならなかったな」

【月子】「哉太が謝ることなんてないよ。私が勝手に転んだんだから」

【七海】「今度から気をつけろよ。女なんだから」

【月子】「うん……」

【七海】「よし、これで大丈夫。傷口大したことなくて良かった」

【七海】「痛みはないか?」

【月子】「うん! もう大丈夫!」

【七海】「はは。あんま無理すんなよ。さてと……それじゃあな」

【月子】「哉太! ありがとう」

【七海】「もう気にするな。つーか、気にするくらいなら早く治せ」

【七海】「あ、あと、変な野郎に声かけられたら、俺を呼ぶんだぞ! じゃ、じゃあな!」

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