購買部を後にして、早く弓道場へと戻ろうと……したいのは山々なんだけど。

思いがけず荷物が重くて歩きにくい上に改めてその量を見ていると不安にもなってくる。

【主人公】「うーん、買い過ぎちゃったかな」

【梓】「それなら心配ないです。きっとスグになくなっちゃうと思いますよ」

【梓】「それに先輩が買ってきてくれたってことで、価値も上がるでしょうし?」

【主人公】「また、そうゆう……」

【主人公】「梓君はサラリと人を持ち上げるっていうか、ほめ上手だよね」

【梓】「あ、また僕の言うこと本気にしてないですね。先輩こそ、かわし上手ですよ……」

【主人公】「ふふっ。梓君がすねた所、初めて見たかも」

【梓】「違います」

【主人公】「ムキになるのが、また怪しいな〜」

【梓】「しょうがないですね。そういうことにしておいてあげます」

【主人公】「ふーん?」

【梓】「……先輩、危ないですよ。前を見て歩いてください」

【梓】「あ、そっちの荷物袋もかしてください」

言うなり、梓君が私の手から取り上げてしまう。

【主人公】「大丈夫だよ」

【梓】「僕は、荷物持ちに来たんですよ? それくらいさせてください」

ヨロヨロ歩きだった私に比べ梓君は両手にぶら下げても平気な顔。

細い腕に見えるけど……やっぱり男の子なんだな。

【主人公】「ありがとう……」

【梓】「どういたしまして」

【梓】「……こうしてると、なんかデートみたいですね」

【主人公】「えっ!?」

【梓】「少しはキュンときますか?」

【主人公】「ちょ、ちょっと、梓君っ」

【梓】「そうだ! インターハイが終わったら、僕と一緒に遠出をしませんか?」

【主人公】「えっ…」

【梓】「先輩は人気だから、早めにデートの約束取り付けておかないと」

【主人公】「で、デートって……!?」

【梓】「服を見たり、散歩したり……。先輩となら楽しいんだろうな」

【梓】「あっ! もちろん2人だけですよ。だってデートですからね」

そう言って、梓君がニコッと笑う。

今日の空に負けないくらい、さわやかな表情で。

【主人公】「……わかった。考えておくね」

【梓】「いいえ、考えておくんじゃなくて素直に『はい』って言ってください」

【主人公】「梓君…」

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