一樹会長の吐息が私の手に吹きかけられる。

恥ずかしくて、くすぐったい。でも、心は優しくあたためられた。

【不知火】「はぁ~……はぁ~……。なんかあっついみそ汁冷ましてるみてぇだな」

【主人公】「あの、会長っ。もう十分ですから。ありがとうございます」

【不知火】「そうか? けど、まだお前の手冷たいから、俺の手袋つけとけ」

【主人公】「でも、それじゃ会長の手が……!」

【不知火】「俺の手はお前の手より頑丈にできてるから、心配すんな」

【主人公】「……」

会長が優しく私のかじかむ手に手袋をはめてくれる。

それはお父さんが子どもにしてあげるような感じがして少しくすぐったい気持ちになった。

【不知火】「あったかいだろ? 寮に戻るまでつけとけよ」

【主人公】「ありがとうございます」

【白銀】「ぷぷっ」

【不知火】「なに笑ってんだよ、桜士郎?」

【白銀】「おふたり、ラブラブですな~。2人のところだけ温度上がってないか? ヒューヒュー」

【不知火】「おぉ! 俺達らぶらぶだよな?」

【主人公】「えぇっ!? な、何言ってるんですか!?」

【不知火】「ん? お前、ほっぺたまで赤くなってきたぞ? 顔のしもやけって、珍しいんじゃないか?」

【主人公】「違いますっ! ほっぺが赤いのはそういうことじゃなくて……! ……大丈夫ですから気にしないでください」

【白銀】「照れちゃって、かわいい~~~」

【不知火】「そうか? まぁ、そろそろ退散するか。こいつに風邪を引かせたら颯斗が黙ってないだろうからな。あと、翼も……」

一樹会長はふっと笑うと、たくましい両腕で私と白銀先輩の肩を引き寄せた。

【主人公】「っ……」

【白銀】「おいっ。なんで俺まで……! 暑苦しいっ」

【不知火】「いーじゃねぇか。俺達3人らぶらぶだろ? ははは!」

【白銀】「一樹、ラブラブの意味わかってないだろ? このオヤジが!」

【不知火】「俺をオヤジ扱いすんな! 俺がオヤジなら桜士郎もオヤジだ。でも……たまにはこういうのも悪くないだろ?」

【白銀】「まあな。……んじゃ、俺も便乗して」

そう言って白銀先輩も会長と私の肩に手をかけてきた。

【白銀】「なんか、楽しいな~~。こういうのが青春って言うのか~? 俺、あんまり青春してなかったかもなー」

すごく歩きずらかったけど、それ以上に心を満たすものがあった。

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