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未公開イベント Knight -信頼シナリオ-

 


『ひだまりのやくそく』


 

――とある休日、百瀬家を訪れた亜貴。

 

【香椎亜貴】
(楽しみだなぁ。わくわくするよ……)

 

【百瀬百合】
「はーい、いらっしゃい」

 

【香椎亜貴】
「こんにちは」

 

【百瀬百合】
「今日は2人とも楽しみにしてたのよ。特につむぎが」

 

【香椎亜貴】
「ええ?ももちゃんが?」

 

【百瀬百合】
「ふふ、さ、あがってちょうだい」

 

【香椎亜貴】
「あ、はい。お邪魔します……!」

 

【香椎亜貴】
「おじゃましまーす」

 

【百瀬つむぎ】
「よぉ亜貴。ちょうど準備ができたとこ。早く作ろーぜ」

 

【百瀬百合】
「ちょうど、ねぇ……」

 

【百瀬たくと】
「あきだー!」

 

【香椎亜貴】
「たくとくん、こんにちは。元気にしてた?」

 

【百瀬たくと】
「うん!あきも元気にしてた??」

 

【香椎亜貴】
「もちろん!たくとくんと遊ぶの、とっても楽しみにしてたよ」

 

【百瀬たくと】
「たくともなのー!」

 

【百瀬百合】
「今日はありがとね。たくとのわがままに付き合ってもらって」

 

【香椎亜貴】
「そんなことないです。僕もたくとくんと公園に遊びに行くのをすごく楽しみにしてました」

 

【百瀬たくと】
「早く行きたいのー!」

 

【百瀬つむぎ】
「たくと、もう少しだけ我慢な。これから俺と亜貴で、うまい弁当作ってやるから」

 

【百瀬百合】
「そうよーたくと。これからふたりが美味しいお弁当を作ってくれるから、おとなしく待ってましょうね」

 

【百瀬たくと】
「はいなのー!」

 

【百瀬百合】
「ん、いい子ね!公園に行っても亜貴くんを困らせたりしちゃだめよ?」

 

【百瀬つむぎ】
「俺が見てるから大丈夫だろ」

 

【百瀬百合】
「つむぎもよ。あんたもたくとと同じみたいなものでしょ?いっつも亜貴くんのお世話になって……亜貴くん、ありがとね」

 

【百瀬つむぎ】
「同じじゃねーし……たくとと同じレベルってどーいうことだよ」

 

【百瀬たくと】
「つむと同じなのー」

 

【百瀬つむぎ】
「うっ……たくとまで……」

 

【香椎亜貴】
「ふふっ。それじゃあ、僕は手を洗ってくるね」

 

【百瀬百合】
「じゃ、たくとはタオル持ってきて、亜貴くんに渡してあげてちょうだい」

 

【百瀬たくと】
「はいなのー」

 

【百瀬つむぎ】
「おい……たくとと同じじゃないからな?俺と亜貴は対等だから!」

 

【百瀬百合】
「はいはい。分かりましたー」

 

【百瀬つむぎ】
「絶対分かってないだろそれ……」

 

【香椎亜貴】
「どうしたの?」

 

【百瀬つむぎ】
「……なんでもない。早く作って公園行こーぜ」

 

【香椎亜貴】
「……うん?そうだね」

 

【百瀬百合】
「ふふふっ!」

 

【百瀬たくと】
「あきとつむのお弁当、楽しみなのー」

 

【香椎亜貴】
「とびっきりのお弁当作ってあげるから待っててね。百合さん、キッチン貸してもらってありがとうございます」

 

【百瀬百合】
「いいの、いいの。自分の家だと思って使ってちょうだい。何かあったらつむぎが掃除するし」

 

【香椎亜貴】
「言い出しのたは僕なので……なるべく綺麗に使いますね」

 

【百瀬つむぎ】
「亜貴、掃除は連帯責任な」

 

【香椎亜貴】
「うん。……あれ?すごい、これどうしたの?具材の下準備、全部できてるみたいだね?」

 

【百瀬つむぎ】
「準備できたって、さっき言ったろ?」

 

【香椎亜貴】
「すごいよももちゃん。完璧だよ……!あとは調理するだけだね!」

 

【百瀬百合】
「つむぎ、ホントにやる気マンマンなのよね~?からあげのもも肉なんて昨晩からタレに浸けて準備してたのよ」

 

【香椎亜貴】
「へぇ……!そうだったんですね」

 

【百瀬つむぎ】
「百合ねえ……っ!そういう余計なこと言わなくていいから!」

 

【百瀬百合】
「良かったわねえ、つむぎ。亜貴君に遊んでもらえて」

 

【百瀬つむぎ】
「はあ!?俺はたくとが亜貴と遊びたいっていうから……ただの付き添いだし」

 

【百瀬たくと】
「つむーよかったねー」

 

【香椎亜貴】
「良かったねー」

 

【百瀬つむぎ】
「亜貴まで……!」

 

【香椎亜貴】
「ふふ。あ、ウィンナー……この切れ目の入れ方は、タコさんの形にするんだね?」

 

【百瀬つむぎ】
「そう。で、卵焼きは砂糖使って甘めに」

 

【香椎亜貴】
「うん、わかった。タコさんの足、取れないように気をつけなくちゃね」

 

【百瀬つむぎ】
「亜貴でも失敗するときなんてあるの?」

 

【香椎亜貴】
「普段自分が食べる時はわざわざタコさんにしないからね。でも、こういう時は見た目もバッチリにしたいから」

 

【百瀬つむぎ】
「確かにな。完璧にできたらすげー達成感もあるしな」

 

【香椎亜貴】
「うん。よーし、たくとくんに喜んでもらえるように見た目も美味しいお弁当作り、頑張ろうね!」

 

***

 

――百瀬家のキッチンで料理を始めた2人は……。

 

【百瀬つむぎ】
「亜貴、お湯の火止めてくれる?」

 

【香椎亜貴】
「はーい。もう油もいい温度みたいだし、からあげ入れてもらってもいい?」

 

【百瀬つむぎ】
「了解。たくと、油はねると危ないから少し離れてろよ」

 

【百瀬たくと】
「はいなのー!あ、つむ!りんごはウサギさんにしてー?」

 

【百瀬つむぎ】
「おう、任せとけ。かわいいウサギさんをたくさん作ってやるからなー」

 

【百瀬たくと】
「わーい!」

 

【香椎亜貴】
「ももちゃんって本当に料理上手だよね。手先も器用だし……」

 

【百瀬つむぎ】
「よく意外って言われる。玲音なんかは最初俺が料理作れるって言ったとき、全然信じなかったしな」

 

【香椎亜貴】
「ふふ。玲音らしいな。ももちゃんは満遍なくどんな料理でも作れちゃうから、すごいと思うよ」

 

【百瀬つむぎ】
「そう?別に凝ったものは作れないけど」

 

【香椎亜貴】
「煮物とか炒め物とか……どれも手際よく、ちゃんと美味しく作れるでしょう?十分すごいことだよ」

 

【百瀬つむぎ】
「まあ、玲音のやつはアイスの盛り合わせしか作れねーからな。それに比べたらできる方だな」

 

【香椎亜貴】
「ふふふ、それって料理って言うのかなあ」

 

【香椎亜貴】
「ももちゃん、卵焼きのお砂糖ってどれくらい入れたらいい?」

 

【百瀬つむぎ】
「これくらいでいいんじゃね?」

 

【香椎亜貴】
「はーい。じゃ、焼いちゃうね。後はこの卵焼きと、余熱取れたらからあげを入れて完成だね」

 

【百瀬つむぎ】
「そうだな。りんごウサギも完成。弁当箱の準備でもするか」

 

【香椎亜貴】
「うん。え?ももちゃん、何食べてるの?」

 

【百瀬つむぎ】
「もぐもぐ……ん?リンゴ。亜貴も食べる?」

 

【香椎亜貴】
「いいの?」

 

【百瀬つむぎ】
「りんご全部は入りきらないし。これは余りだからだいじょーぶ。つまみぐいは作る人間の特権だろ?」

 

【香椎亜貴】
「ふふ、そうだね。じゃ、僕も一つ貰おうかな」

 

***

 

――公園を訪れた亜貴、つむぎ、たくと。

 

【百瀬つむぎ】
「よーし。着いたな。たくと、公園の外に1人で出ちゃだめだからな。約束、守れるか?」

 

【百瀬たくと】
「はいなの。つむもだめだからね?」

 

【百瀬つむぎ】
「たくとを置いてどっかに行かねーから。安心しな」

 

【香椎亜貴】
「たくとくん、何で遊びたい?」

 

【百瀬たくと】
「んー……ブランコ!」

 

【香椎亜貴】
「分かった。じゃ、押してあげるね」

 

【百瀬つむぎ】
「2人とも、怪我しないよーにな」

 

【亜貴・たくと】
「はーい」

 

【香椎亜貴】
「たくとくん、ちゃんと座った?おてて、しっかりつかまっててね?」

 

【百瀬つむぎ】
「はいなの!」

 

【香椎亜貴】
「よーし。じゃあ押すからねー!」

 

【百瀬つむぎ】
「きゃー!」

 

【百瀬つむぎ】
「……やば……可愛い……!そーだ、カメラで撮っとこ」

 

【百瀬つむぎ】
「はー……癒される……」

 

【百瀬つむぎ】
「これ……玲音に送ったらまた勝手に亜貴と遊んでるって怒られそー。……ま、いっか」

 

***

 

【百瀬たくと】
「おすなばで遊んでくるのー」

 

【百瀬つむぎ】
「おう、俺達は砂場の前のベンチに座ってるからな」

 

【香椎亜貴】
「ふふ。たくとくん、楽しそうだね」

 

【百瀬つむぎ】
「うん。はー……なんかさ」

 

【香椎亜貴】
「ん?」

 

【百瀬つむぎ】
「亜貴といると落ち着く」

 

【香椎亜貴】
「え……?そうなの?」

 

【百瀬つむぎ】
「ん。そーなの。例えば……イライラしてた時でも、亜貴と話すといつの間にか笑顔になっててさ」

 

【百瀬つむぎ】
「イライラしてたことも、『まぁ、いっか』って思えるようになるんだよ」

 

【百瀬つむぎ】
「亜貴の……なんていうの?ほわほわして、陽だまりみたいに優しい雰囲気がさ、一緒にいて安心するのかもしれない」

 

【香椎亜貴】
「……」

 

【百瀬つむぎ】
「玲音といると言い合いばっかだしな。久遠もすぐ俺に構いたがるから、うぜーし」

 

【香椎亜貴】
「でも、玲音とは別に嫌いでケンカしてるわけじゃないよね?久遠だって、本当にももちゃんが嫌がることはしないでしょう?」

 

【百瀬つむぎ】
「……まあな。そうじゃなかったら、一緒に音楽なんてできねーよ」

 

【百瀬つむぎ】
「でも亜貴といると、怒ることも言い合うこともなくて、平和なんだよな。玲音が亜貴を大切にするのも分かるかも」

 

【香椎亜貴】
「……!」

 

【百瀬つむぎ】
「亜貴といると、怒ることも言い合うこともなくて、平和なんだよな。玲音が亜貴を大切にするのも分かるかも」

 

【香椎亜貴】
「……!」

 

【香椎亜貴】
「ももちゃんがそんな風に思ってくれてたなんて、嬉しいよ!ちょっと照れくさいけどね」

 

【百瀬つむぎ】
「あ……いや、その……忘れて。そんな風に返されると俺も恥ずかしい」

 

【香椎亜貴】
「忘れないよ」

 

【百瀬つむぎ】
「……そっか」

 

【百瀬たくと】
「つむーおなかすいたー」

 

【百瀬つむぎ】
「あ……もう昼か。よっし、じゃあお弁当食べるか!たくと、公園の水道で手を洗ってこようぜ」

 

【百瀬たくと】
「はいなのー!」

 

***

 

【亜貴・つむぎ・たくと】
「いただきます!」

 

【百瀬たくと】
「たこさんー!」

 

【百瀬つむぎ】
「よかったなたくと、亜貴がたくとのために作ってくれたんだぞ」

 

【百瀬たくと】
「あき、ありがとなのー」

 

【香椎亜貴】
「ふふ。どういたしまして。あ、このからあげもとっても美味しいよ」

 

【香椎亜貴】
「昨日から準備しておいてくれたおかげだね。ありがとう、ももちゃん」

 

【百瀬つむぎ】
「……別に」

 

【百瀬たくと】
「からあげも食べるー」

 

【百瀬つむぎ】
「おいおい、焦らなくてもたくさんあるって。たくと、ゆっくり食べろ。な?」

 

【百瀬たくと】
「はいなのー。つむも食べてー」

 

【百瀬つむぎ】
「ああ、じゃあ卵焼き……ん!亜貴の焼いた卵焼きウマい。毎朝でも食えそー」

 

【香椎亜貴】
「それは良かったよー。卵焼きって人によって好みの味付けが違うし、ちょっと心配だったんだ」

 

【百瀬つむぎ】
「美味いよな、たくと?」

 

【百瀬たくと】
「うん、すっごく美味しくて楽しいのー!」

 

【百瀬つむぎ】
「はは。良かったな、たくと」

 

【百瀬たくと】
「つむだけじゃなくて、たくさんのお兄ちゃんが遊んでくれて嬉しいの。もっと遊ぼうね!」

 

【つむぎ・亜貴】
「!!」

 

【香椎亜貴】
「うん、もちろんだよ」

 

【百瀬つむぎ】
「ああ!」

 

【百瀬たくと】
「約束なのー!ゆびきりしよ?」

 

【香椎亜貴】
「指きり?うん、しよっか」

 

【百瀬つむぎ】
「……」

 

【百瀬つむぎ】
(……兄貴が遊んでやれない分、俺がたくさん遊んでやるからな、たくと)

 

【百瀬たくと】
「つむー?つむも早くゆび出すのー」

 

【百瀬つむぎ】
「お、悪い。指きりげんまん──」

 

【香椎亜貴】
(ももちゃん……。たくとくんの喜ぶ顔が、ももちゃんの幸せなんだもんね)

 

【香椎亜貴】
(そんなももちゃんを、僕は応援してるよ)

 

【香椎亜貴】
「たくとくん。僕だけじゃなくて玲音、久遠ともまたいっぱい遊ぼうね!」

 

 

END