未公開イベント YUU -成長シナリオ-
『ハロウィンの約束』
※ハロウィン メインシナリオからの一幕になります
――ハロウィンが近づくとある日。事務所を訪れたKYOHSOメンバー。
【城坂依都】
「打ち合わせって今日はどこでやんの?」
【英時明】
「マネージャーからは、大会議室を押さえてあると聞いているよ。年末の仕事について連絡事項がいくつかあるんだって」
【城坂依都】
「へぇ、もうそんな時期……あ~!そういえば、もうすぐハロウィンじゃん!」
【英時明】
「そうだね、ハロウィンといえば、毎年黒曜駅前が仮装した人たちですごく盛り上がってるのをテレビの中継で見るよね」
【黒谷優】
「周辺が渋滞で面倒臭い……」
【城坂依都】
「ま、でもみんな楽しんでるからいいんじゃん?」
【諏宮篠宗】
「最近は凝った仮装が多くて、眺めているだけでも楽しいしな」
【英時明】
「そういえば今年のハロウィンには、俺達が藍鉄Rock Fesで着用していたKYOHSOのコンセプトライブ衣装を手作りしようとしているクレド達がいるらしいよ」
【黒谷優】
「……わざわざ調べたのか?」
【英時明】
「まさか。違うよ。マネージャーの彼女がSNSで見つけたらしくてね、それを教えてもらったんだ」
【城坂依都】
「ハロウィンもオレ達KYOHSOの色に染まろうってわけか。さっすがクレドだね~♪」
【諏宮篠宗】
「あの衣装がそんなにもクレドに気に入ってもらえていると知ったら、衣装の考案者である百瀬も喜ぶんじゃないか?」
【城坂依都】
「そうだね~。優、このことつむぎに教えてあげたら?」
【黒谷優】
「なんでオレなんだ」
【英時明】
「つむぎは優からの連絡が一番嬉しいと思うよ?何せ、優はつむぎの憧れの存在だからね」
【黒谷優】
「……別に、メッセージを送るくらいはいいけど」
【城坂依都】
「それにしてもさ~、今年のハロウィンも楽しくしたいよね~」
【黒谷優】
「やめろ」
【城坂依都】
「オレまだ何も言ってないじゃん!優ってこういう時は本当に反応早いよね」
【英時明】
「依都、忘れちゃった?今年のハロウィンはもう予定が決まっているよ」
【城坂依都】
「ん?そうだっけ?」
【黒谷優】
「スケジュールを把握していないのか」
【城坂依都】
「そんなのオレがしてると思う?で、時明、予定って何?」
【英時明】
「音楽番組に出演予定だよ。しかも生放送」
【諏宮篠宗】
「『Halloween music show!』だな!どういった内容になるのか、今から楽しみだ」
【城坂依都】
「音楽番組……生放送……ねえ?」
***
【英時明】
「あれ?伊澄さん。お疲れ様です」
【諏宮篠宗】
「お疲れ様です。まだ使用中でしたか」
【伊澄久臣】
「ああ、お疲れ。先程まで会議だったんだ。今退出する」
【城坂依都】
「伊澄ちゃん!めちゃくちゃグッドタイミングだよ。あのさ――」
【黒谷優】
「依都。駄目だ」
【城坂依都】
「えぇ~また?まだオレ何も言ってないじゃん」
【黒谷優】
「言わなくても空気で分かる。絶対面倒ごとだろう。だから駄目だ」
【城坂依都】
「何なに?オレと優は言葉も要らない以心伝心の仲ってこと?優ってば大胆~♥」
【黒谷優】
「気色悪い。そんなこと一言も言ってない」
【城坂依都】
「冗談だって。長年連れ添った勘ってやつでしょ?優はオレのことよく見てるもんな~」
【黒谷優】
「~~っ依都!」
【英時明】
「依都、優をからかうのはほどほどにね?」
【伊澄久臣】
「とりあえず聞くだけ聞こう」
【城坂依都】
「さっすが伊澄ちゃーん。話わかる~!ハロウィンの当日の仕事の件なんだけどさ」
【伊澄久臣】
「夜の特別音楽番組か。生放送だ。十分気を引き締めて臨んでくれ」
【城坂依都】
「それはもちろん。でさ……」
【城坂依都】
「その生放送での演奏場所って、今から変更可能?オレ、スタジオじゃなくて黒曜駅前でやりたいんだけど」
【伊澄久臣】
「は?」
【時明・篠宗】
「黒曜駅前……?」
【黒谷優】
「……はぁ」
***
【黒谷優】
「……」
【英時明】
「優、まだ怒ってるの?」
【黒谷優】
「当たり前だろ。依都はいつも唐突過ぎる」
【英時明】
「優が心配する気持ちもわかるけどね。伊澄さんが、面白い提案だって即決してすぐに調整に動いてくれたのは、俺も少し驚いたよ」
【黒谷優】
「別に。心配なんかしてない。ただ……」
+++
【城坂依都】
「アドトラックで移動してさ、駅前にバーン!と登場してライブすんの」
【城坂依都】
「藍鉄Rock Fesのゲリラライブみたいなスリルを、今度は生放送で味わってみたいんだよね~♪」
【城坂依都】
「あ、あと、衣装はコンセプトライブの衣装を使いたいな。モンスターと過ごす狂騒night・再演!って感じで……」
【城坂依都】
「突如街に現れたKYOHSOモンスターがハロウィンの夜に大暴れ!みたいな?」
【黒谷優】
「そんな要望、通るわけ――」
【伊澄久臣】
「なるほどな……なかなか面白い提案だ。早速先方と掛けあってみよう」
【城坂依都】
「やったー!!ありがと、伊澄ちゃん!」
【黒谷優】
「……………………」
+++
【黒谷優】
「……社長は依都に甘すぎる。だから調子にのるんだ。スタッフ達にもいい迷惑だろう」
【英時明】
「でも、番組サイドも乗り気だったそうだよ?面白い試みだって」
【諏宮篠宗】
「幸い、今ならまだ警備や他の手配も間に合うようだしな。安全に進行出来そうで何よりだ」
【城坂依都】
「タイミングばっちり!さすがオレ、持ってるよね~♪」
【黒谷優】
「はぁ……どうしてこうなるんだ……」
【城坂依都】
「伊澄ちゃんのお墨付きなんだからいいじゃん。優ってば固いんだから~」
【黒谷優】
「離せ。うざい。肩を組もうとするな」
【城坂依都】
「超楽しみだね~、ハロウィン!」
【黒谷優】
(本番が思いやられる……)
***
――そして、ハロウィン当日の夜。
【MC】
「さあ!今夜限りの音楽番組、Halloween music show!続いては日本のロック界を誇る、あのビッグなバンドが登場!」
【MC】
「今日はなんと……驚くべき場所から生中継でお送り致します!!」
【MC】
「どちらにいらっしゃるんでしょうか……」
***
【英時明】
「もう少し車で待機だって」
【城坂依都】
「あーわくわくする~♪」
【諏宮篠宗】
「ついに始まったな……頑張ろうな、優!」
【黒谷優】
「……ああ」
【黒谷優】
(ここまで来たら、もう……覚悟を決めるか)
***
【MC】
「中継車のカメラの様子は……ここは黒曜駅前ですね!今日はハロウィンなのでたくさんの仮装した人たちで賑わっています!」
***
【女性A】
「なんかあそこに大きなトラックが停まってるけど、何かやるのかな?」
【女性B】
「ハロウィンだし、誰かパフォーマンスとかするんじゃない?」
【男性A】
「すっげー人数の警備員が周りにいるけど……」
【男性B】
「あれってTVカメラじゃね?」
【男性A】
「仮装した俺たち撮ってんじゃねーの?おーい!」
【警備員】
「これより先は立ち入り禁止です!押さずに、ここより前を歩いてください!」
***
【MC】
「どうやら黒曜駅前に大きなトラックがありますね!周りでは警備員さんが頑張ってますが……まさか……!?」
***
【城坂依都】
「行くぜ!!KYOHSOーーーー!!!!」
【女性A】
「うそうそ待って!?え、え!?」
【女性B】
「まじ無理……!!」
【城坂依都】
「メイク・サム・ノーーーイズ!!!」
【女性C】
「キャーーーー!!YORITOーーー!!!」
【英時明】
「お前達に、KYOHSOの音楽という刺激的なお菓子をあげるよ」
【女性D】
「TOKIHARU~~~!!」
【諏宮篠宗】
「ハロウィンナイト、楽しもうな!」
【男性A】
「ぅおおおっ!!SHINOMUNEーーー!!」
【黒谷優】
「……オレ達の音を聴け」
【女性E】
「YUU~~~!!」
【城坂依都】
「ハロウィンの夜をオレらがとことん盛り上げてやるぜ!狂騒night・開幕だ!!」
【観客】
「キャーッッ!!!」
***
【MC】
「――それでは、ゲリラライブを終え、スタジオに到着したKYOHSOの皆さんに、早速お話をうかがってみたいと思います!」
【MC】
「お帰りなさい、KYOHSOの皆さん。先ほどは最高のライブをありがとうございました!」
【MC】
「ゲリラライブをあんな場所で行うなんて、驚かされました」
【英時明】
「大分お騒がせしましたが、最高のライブをお届けできたと思います」
【MC】
「一瞬で駅前がライブ会場になりましたね!居合わせた街の皆さんも、さぞ喜ばれたことかと思います」
【諏宮篠宗】
「そうですね、楽しんでもらえたなら何よりです!」
【MC】
「ところで、皆さん素敵な衣装ですが、今回これを選んだ理由はなんですか?」
【英時明】
「これは以前行った藍鉄Rock Fesのコンセプトライブで着用したものなんです」
【城坂依都】
「そうそう。この衣装オレも気に入っててさ」
【城坂依都】
「ハロウィンだし、丁度いいからまた着ようって思ったんだよね~。YUUも気に入ってるみたいだし?」
【黒谷優】
「……まあ、悪くない」
【MC】
「非常に華やかでハロウィンナイトに相応しかったと思います!最高のライブをありがとうございました!」
***
【黒谷優】
「……ふぅ」
【黒谷優】
(……疲れた。生放送のゲリラライブなんて、もうしばらくやりたくない)
【黒谷優】
(社長は本当に依都に甘い――)
【黒谷優】
「ん……メール?」
【黒谷優】
「……百瀬からか」
【百瀬つむぎ】
『ゆうさん、お疲れ様です。今日の生放送観ました』
【百瀬つむぎ】
『ベースソロ、めちゃくちゃカッコよくてまばたき忘れるくらい見入ってました』
【百瀬つむぎ】
『それに、まさかコンセプトライブの衣装をもう一度着てもらえるなんて本当に嬉しいです。ありがとうございました』
【黒谷優】
「……ふ、嬉しそうだな」
【黒谷優】
(百瀬が一生懸命考えた衣装だし、当たり前か……)
+++
【城坂依都】
「そうだね~。優、このことつむぎに教えてあげたら?」
【黒谷優】
「なんでオレなんだ」
【英時明】
「つむぎは優からの連絡が一番嬉しいと思うよ?何せ、優はつむぎの憧れの存在だからね」
+++
【黒谷優】
「…………」
【黒谷優】
(……たまにはいいか)
【百瀬つむぎ】
『お、お、お疲れ様です!百瀬です……!どうしたんですか?ゆうさんから電話なんて……』
【黒谷優】
「……百瀬からのメール見た。たまには電話でもいいかと思って……迷惑だった?」
【百瀬つむぎ】
『と、とんでもないです!すごく嬉しいです。あの、今日の生放送、本当にカッコよかったです……』
【百瀬たくと】
『つむ、誰とおしゃべりしてるの~?』
【百瀬つむぎ】
『あっ、こらたくと、しーっだ!しーっ!あ、すみません……』
【黒谷優】
「いや、構わない」
【黒谷優】
「そういえば……百瀬が作ったあの衣装をクレド達も自作して、ハロウィンの仮装として着てるらしい」
【百瀬つむぎ】
『えっ!?そ、そうだったんですか……!?』
【黒谷優】
「ああ。うちのマネージャーが、そういう計画をしていたクレドをSNSで見かけたって」
【黒谷優】
「みんな百瀬の作った衣装を気に入ってるんだな」
【百瀬つむぎ】
『嬉しいです……!いつかKYOHSOさんのハロウィン衣装も考えてみたい――』
【百瀬つむぎ】
『あ、いえ!それはさすがに調子に乗り過ぎでした。忘れてください……』
【黒谷優】
「百瀬……」
【百瀬つむぎ】
『す、すみません!』
【黒谷優】
「違う。百瀬の作る衣装は、オレも悪くないと思ってる」
【百瀬つむぎ】
『え……』
【黒谷優】
「もし作るんだったら、どんなのを作りたいんだ?」
【百瀬つむぎ】
『え!!えっと、ゆうさんには、死神とか似合いそうだなって……こう、黒いローブを纏って……鎌を振り下ろして……』
【百瀬つむぎ】
『絶対似合うと思います!』
【黒谷優】
「ふ……そうか」
【百瀬つむぎ】
『あと、ローブもせっかくなら装飾を入れたいです!銀の刺繍とかで格好良く……ああでも、俺、絵心無いから……』
【黒谷優】
「それなら、百瀬が出した案をオレが形にする」
【百瀬つむぎ】
『ゆうさんが?!』
【黒谷優】
「ダメか?」
【百瀬つむぎ】
『ダメなんて、そんなこと絶対ないです!!うわ……嬉しい。嬉しいです!』
【黒谷優】
「……そうか」
【黒谷優】
(依都の思いつきに振り回されて本当に疲れたし、勘弁してくれと思ったけど……)
【黒谷優】
(観客も、百瀬も楽しんでいたようだし……こういうハロウィンも悪くないかもしれないな)
END