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未公開イベント Knight -成長シナリオ-

 


『最高のハロウィンにするために』


 

※ハロウィン メインシナリオからの一幕になります

 

――インクル・ナイトメアパーティー準備期間中。亜貴の家にて。

 

【香椎亜貴】
「ふう……」

 

【香椎亜貴】
(今日も大忙しだったな)

 

【香椎亜貴】
(ハロウィンライブについても色々話し合ってきたけど……)

 

+++

 

【エリ先輩】
「あの!Toiさんってイラスト描くの得意ですよね!?」

 

【香椎亜貴】
「あ、そういえば……以前、レヴァフェのツアー用にイラストを描いてくれましたよね!懐かしいなぁ……」

 

【音石夕星】
「ええ~僕?僕はあーちゃんの絵でいいと思うけど」

 

【音石夕星】
「ホラーな感じでハロウィンっぽさが出てるし、雰囲気バッチリじゃない?」

 

【香椎亜貴】
「でも……せっかくなので、夕星さんのイメージを見たいです」

 

【音石夕星】
「ん~……仕方ないなぁ。あーちゃんが言うなら描いてもいいけど」

 

【音石夕星】
「……ステージの装飾は~、こんな感じ?」

 

【一同】
「おお~……!!」

 

【ハルヨシ先輩】
「このステージ中央のガイコツ、すげークールでかっこいい!いかにもバンドって感じ!?」

 

【エリ先輩】
「ステージの周りを囲んでるカボチャ達が可愛い~!ハロウィンらしくて素敵!」

 

【ジン】
「うんうん、見てるとワクワクしてくる装飾だな!」

 

【音石夕星】
「ふ~ん、じゃあこれで行く?」

 

【ジン】
「ああ!決まりだな!」

 

【先輩達】
「異議なし!!」

 

【香椎亜貴】
「…………」

 

【音石夕星】
「あーちゃん?どうしたの?」

 

【香椎亜貴】
「あ……いえ、なんでもないです!夕星さんの絵、僕もすごく素敵だと思います」

 

【音石夕星】
「……」

 

【ジン】
「イメージも決まったことだし、作業を分担させて進行させるぞ」

 

【ジン】
「夕星、お前はインクル店内の装飾とフライヤー作りの担当だ!デザイン面の仕事を頼む」

 

【音石夕星】
「は~い。仕方ないなぁ」

 

【ジン】
「亜貴、お前は宣伝活動やフライヤー配りの方を頼む」

 

【香椎亜貴】
「は、はい!」

 

【ジン】
「それから、せっかく2人がいるってのをもっと生かしたい。お前らに、イベントのMCも頼んでいいか?」

 

【香椎亜貴】
「えぇっ!?MCって、司会進行ってことですよね?そんな大役、僕には……!」

 

【ハルヨシ先輩】
「いけますって!大丈夫、大丈夫!」

 

【エリ先輩】
「絶対盛り上がりますね!」

 

【香椎亜貴】
「う、うぅ……逃げ場がない……分かりました。頑張ってみます……」

 

+++

 

【香椎亜貴】
(……MC……本当にできるのかな?僕に……失敗してみんなに迷惑をかけちゃったら、嫌だな……)

 

【香椎亜貴】
(それに、結局僕はライブに関して何もできていない。夕星さんにばっかり色々負担をかけちゃってるし……)

 

【香椎亜貴】
(絶対僕なんかより、他の人の方が……)

 

【香椎亜貴】
「ううん、だめだめ!ネガティブな事ばっかり考えるのは終わり。今できることを一生懸命頑張らなくちゃ……!」

 

【香椎亜貴】
「あ、電話……誰からだろう?」

 

【香椎亜貴】
「久遠から……?」

 

【香椎亜貴】
「もしもし久遠?どうしたの?」

 

【月野原久遠】
『もしもし、亜貴?今、電話大丈夫か?』

 

【香椎亜貴】
「大丈夫だよ」

 

【月野原久遠】
『なら良かった。明日のスケジュールで少し変更があって、それの連絡なんだけどさ』

 

【香椎亜貴】
「そうなんだね。わざわざありがとう」

 

【月野原久遠】
『リーダーだからな。で、明日は――』

 

***

 

【月野原久遠】
『――以上だ。大丈夫そうか?』

 

【香椎亜貴】
「うん、問題ないよ」

 

【月野原久遠】
『そうか。なら良かった……あ』

 

【月野原久遠】
『そうだ、ハロウィンライブの亜貴のスケジュールについてだけど、もう八雲と相談して調整しておいたからな』

 

【香椎亜貴】
「本当?良かった、ありがとう。ごめんね、急な予定変更になっちゃって」

 

【月野原久遠】
『いいって。予定変更なんていつものことだしな。八雲も頑張れって応援してたぞ』

 

【月野原久遠】
『それから、ジンさんから話を貰った伊澄社長も期待してるって言ってくれてたってさ』

 

【香椎亜貴】
「そ、そっか……」

 

【香椎亜貴】
(久遠も、やっくんも、社長まで……みんなが応援してくれている)

 

【香椎亜貴】
(なのに、僕がやれたことって……)

 

【月野原久遠】
『……亜貴?』

 

【香椎亜貴】
「あの……久遠、連絡ありがとね。それじゃあ、これで――」

 

【月野原久遠】
『……なあ、今からちょっと出て来られるか?』

 

【香椎亜貴】
「え?今から……?」

 

***

 

――久遠に呼び出され、近所の公園にやってきた亜貴は……。

 

【香椎亜貴】
(あ、久遠もう来てる……でも、急にどうしたんだろう……)

 

【香椎亜貴】
「久遠、お待たせ」

 

【月野原久遠】
「悪いな、急に呼び出したりして」

 

【香椎亜貴】
「ううん。大丈夫だよ。でもどうしたの?急に。電話じゃできない話……とか?」

 

【月野原久遠】
「いや、なんとなくだけど、亜貴の様子が少し気になってさ。顔を見ておきたかったんだ」

 

【香椎亜貴】
「……」

 

【月野原久遠】
「なんか、元気が無いように感じて。……悩み事でもあるんじゃないか?」

 

【香椎亜貴】
「……久遠には全部お見通しなんだね」

 

【月野原久遠】
「亜貴と何年一緒に過ごしてると思ってるんだ?」

 

【香椎亜貴】
「うん、そうだね。僕も久遠の雰囲気がいつもとちょっと違うなって感じてたんだ。一緒だね」

 

【月野原久遠】
「……ああ。で、何があったんだ?全部聞いてやるから話してみろよ」

 

【月野原久遠】
「無理強いはしないけど……俺になら話せる内容なら聞かせて欲しい」

 

【香椎亜貴】
「……ありがとう、久遠。情けない話なんだけど……聞いてもらえると嬉しいな」

 

【香椎亜貴】
「実は……ハロウィンライブのことなんだけどね、僕、本番当日のMCを任されることになったんだ」

 

【月野原久遠】
「MC!?亜貴が?すごいじゃないか!」

 

【香椎亜貴】
「う、うん。僕ひとりじゃなくて、夕星さんと一緒だけどね」

 

【月野原久遠】
「それでも十分すごいことだよ。そんな仕事、めったにやれるものじゃないもんな」

 

【香椎亜貴】
「うん……でも……」

 

【香椎亜貴】
「僕にそんな大役が務まるのか、不安で……。ミスをしてライブを台無しにしちゃうんじゃないかと思って……」

 

【香椎亜貴】
「……僕ね、ライブの準備のお手伝いで、今のところなんの役にも立ててないんだ」

 

【香椎亜貴】
「ライブのデザイン案を考えてみても、夕星さんの考えたかっこいいデザインには敵わなかったし……」

 

【香椎亜貴】
「こうするとライブがもっと面白くなるんじゃないか、っていう気の利いたアイディアも、特に浮かばなかくて……」

 

【香椎亜貴】
「こんな状態でMCに挑んだら、絶対ミスをしてしまうと思うんだ」

 

【香椎亜貴】
「そうなったら……ジンさんやスタッフさん、夕星さん、応援してくれる久遠ややっくん、社長……」

 

【香椎亜貴】
「みんなの期待を裏切ることになる。それが……怖くて……」

 

【月野原久遠】
「亜貴」

 

【香椎亜貴】
「……」

 

【月野原久遠】
「ほら、俯いてないで、顔をあげろ」

 

【香椎亜貴】
「久遠……でも……」

 

【月野原久遠】
「亜貴は何もできてないって言うけど、本当に?お前にできることは、もう何ひとつ残ってないのか?」

 

【香椎亜貴】
「え?」

 

【月野原久遠】
「ライブの準備は、まだ始まったばかりなんだろ?」

 

【月野原久遠】
「企画の段階であまり力になれなかったとしても、これから挽回できる機会なんていくらでもある」

 

【月野原久遠】
「得意・不得意は誰にでもあるしな。全部の場面で活躍しなきゃ、って焦る必要なんてないんだ」

 

【月野原久遠】
「デザイン面を夕星が頑張ってくれたのなら、亜貴は亜貴にしかできないことを探して、それを頑張ればいい」

 

【香椎亜貴】
「僕にしかできないこと……」

 

【月野原久遠】
「ああ、そうだ。失敗したっていい。そこで諦めないで、また別のところで取り返せばいいんだから」

 

【月野原久遠】
「行動を起こす前に先に失敗を恐れてたら、不安な気持ちが邪魔をして、ますます失敗しやすくなる」

 

【月野原久遠】
「だからさ、自分ならできる!って勢いで、堂々と挑めばいいんだ!」

 

【香椎亜貴】
「久遠……。でも……」

 

【月野原久遠】
「どうしても不安か?亜貴はすでに、レヴァフェで実績を作ってるのに?」

 

【香椎亜貴】
「え……?」

 

【月野原久遠】
「亜貴は今まで、亜貴にしか出来ないやり方で、レヴァフェにたくさん貢献してくれたじゃないか」

 

【月野原久遠】
「ドラムや歌詞もそうだけど、メンバーが疲労してる時に優しくフォローしてくれたり、場を和ませてくれたり……」

 

【月野原久遠】
「そういうの全部、亜貴にしか出来ないことだと思うし、亜貴のおかげで俺達は随分助けられてきたって思う」

 

【月野原久遠】
「そうやってメンバーひとりひとりが、自分にしかできないことに全力で取り組んできたおかげで……」

 

【月野原久遠】
「レヴァフェは今の場所まで辿り着くことができた。毎日が最高!って思える場所にな!」

 

【月野原久遠】
「だから、今回のハロウィンライブも、亜貴が自分にしかできないことを見つけて、全力で取り組めば……」

 

【月野原久遠】
「きっと最高のものに仕上がるはずだ」

 

【香椎亜貴】
「……」

 

【月野原久遠】
「親友の言葉、信じられないか?」

 

【香椎亜貴】
「そんなことないよ!」

 

【月野原久遠】
「はは!だろ?……だからさ、安心して、亜貴らしく臨めばいいよ」

 

【香椎亜貴】
「はー……」

 

【月野原久遠】
「亜貴?……大丈夫か?」

 

【香椎亜貴】
「うん……久遠と話すと、いつも心が軽くなって楽になるんだよ。まるで久遠は、僕のお薬みたいだね」

 

【月野原久遠】
「ははっ、お薬か!それはいいな」

 

【月野原久遠】
「いくらでも処方してやるから、お悩みの時は月野原病院に診察を受けに来るように。いつでも待ってるからさ」

 

【香椎亜貴】
「うん……ふふっ」

 

【月野原久遠】
「はは。はぁ……良かった。いつもの亜貴だ」

 

【香椎亜貴】
「ごめんね、迷惑かけちゃって……」

 

【月野原久遠】
「違うぞ。亜貴がかけたのは迷惑じゃなくて心配だからな?……亜貴の笑顔が見れて、ほっとしたよ」

 

【月野原久遠】
「亜貴の笑顔はさ、俺達メンバーやクイーンにとってのお薬なんだ。見ているととびっきり幸せな気持ちになれる、特効薬!」

 

【月野原久遠】
「だから……そのナイトスマイルを、ハロウィンライブでも思いっきり見せてこいよ?」

 

【香椎亜貴】
「うん!」

 

【香椎亜貴】
(ダメだな、僕はすぐ弱気になって……。親友は、僕の力をこんなにも信じてくれてるっていうのに)

 

【香椎亜貴】
(僕も、僕自身の力を信じてあげなくちゃ。ハロウィンライブ……絶対に成功させよう!)

 

***

 

――自宅に戻ってきた亜貴。

 

【香椎亜貴】
「うーん……」

 

【香椎亜貴】
(僕にもできること……いくつか案を出してみようかな?会場に来たお客さんの思い出に残ることをしたいよね……)

 

【香椎亜貴】
「……そうだ!ハロウィンなんだし、お菓子を配るなんてどうかな?」

 

【香椎亜貴】
(どんなお菓子だったら、みんな喜ぶだろう?好き嫌いがあんまり分かれなくて、形が崩れにくくて……)

 

【香椎亜貴】
(いくつか候補を絞って、ジンさん達に相談してみようかな。食べ物だし、許可を貰わないといけないよね)

 

【香椎亜貴】
「よし、忘れないようにメモしておこうっと!」

 

【香椎亜貴】
「他に、もっと会場が盛り上がることってないかな……?う~~ん……」

 

【香椎亜貴】
(……そう言えばさっき、別れ際に久遠が……)

 

+++

 

【月野原久遠】

 

「亜貴、何か俺にも協力できることがあったら、いつでも頼ってくれよ?俺達は親友なんだからさ」

 

【月野原久遠】
「俺だけじゃない。ももや玲音だって亜貴の味方だ」

 

【月野原久遠】
「みんな、亜貴が『こうして欲しい』って願ったら、いつでも喜んで力になってくれると思うぞ」

 

+++

 

【香椎亜貴】
(ふふ。僕は本当に、頼もしいリーダーとメンバーに支えられてるなぁ……)

 

【香椎亜貴】
「……!そうだ!」

 

***

 

――準備が大詰めのインクル店内。

 

【香椎亜貴】
「えーと、ハロウィンの飾りは……うん、大丈夫かな」

 

【香椎亜貴】
「本番直前の最終確認だもんね……しっかり見て周らないと」

 

【音石夕星】
「ねえねえ、あーちゃん。この装飾だけどさ、もうちょっとステージ寄りにしたほうが良くない?」

 

【香椎亜貴】
「あ、確かに……そうしましょうか。よいしょっと……こんな感じでどうでしょう?」

 

【音石夕星】
「うん、いいんじゃない♥」

 

【香椎亜貴】
「演出のスタッフさんにも確認してみますね。すみませーん!」

 

【演出スタッフ】
「はい!」

 

【香椎亜貴】
「今この飾りの位置を動かしたんですけど、照明の当たり方、どうですか?おかしくなってないですか?」

 

【演出スタッフ】
「確認します!ついでにライトテストもするのでおふたりにも見てもらっていいですか?」

 

【香椎亜貴】
「分かりました!」

 

***

 

【音石夕星】
「うん、いい感じ。ハロウィンっぽいじゃん」

 

【香椎亜貴】
「そうですね。雰囲気出てるなって思います!」

 

【香椎亜貴】
「……ん?あ、スタッフさん!」

 

【スタッフ】
「お疲れ様です!」

 

【香椎亜貴】
「お疲れ様です。そちらの準備はどうでしょうか。順調に進んでますか?」

 

【スタッフ】
「はい。カウンターで配る予定のお菓子の準備も、先程終わったところです!」

 

【スタッフ】
「来てくださるお客様にお菓子を配るなんて、ハロウィンならではですね!きっと喜ばれますよ!」

 

【香椎亜貴】
「はい……!ハロウィンらしいお菓子で、味にもこだわったので、みんなに喜んでもらえたら僕も嬉しいです」

 

【音石夕星】
「ああ、さっき食べたお菓子って、あーちゃんが準備したものだったんだねぇ」

 

【香椎亜貴】
「え!夕星さんいつの間に食べたんですか!?」

 

【音石夕星】
「ん~?さっきロビーの様子見に行ったときにね」

 

【香椎亜貴】
「えっと……どう、でした?」

 

【音石夕星】
「……そんな心配そうな顔しなくてもだーいじょうぶ。ちゃーんとおいしかったよ♥」

 

【スタッフ】
「スタッフにも好評ですよ!俺達の分まで用意してくださってお心遣い、ありがとうございます」

 

【香椎亜貴】
「……良かった!」

 

【香椎亜貴】
「見た目も楽しくて、味もおいしいハロウィンお菓子を……って一生懸命探したものだったので、気に入ってもらえてホッとしました」

 

【音石夕星】
「よかったねー、あーちゃん」

 

【香椎亜貴】
「はい……!」

 

【スタッフ】
「手が空いたので、手伝えることがあれば言ってください」

 

【香椎亜貴】
「ありがとうございます。それじゃあ、客席の確認をお願いしてもいいでしょうか」

 

【スタッフ】
「承知しました!」

 

【香椎亜貴】
「よろしくお願いします!」

 

【香椎亜貴】
「夕星さん、僕達はステージ周りを見に行きましょう!」

 

【音石夕星】
「はぁ~い。……あーちゃん、自信にあふれてイキイキしてるねぇ」

 

【香椎亜貴】
「はい?今、何か言いました?」

 

【音石夕星】
「べっつにぃ~?」

 

【香椎亜貴】
「??」

 

【???】
「おっ!亜貴、頑張ってるな!」

 

【香椎亜貴】
「みんな!」

 

【音石夕星】
「わー。レヴァフェ勢揃いじゃん」

 

【香椎玲音】
「よ、ゆーせー!準備は万端か?」

 

【音石夕星】
「あったりまえでしょ~」

 

【香椎亜貴】
「みんな、今日は助けに来てくれてありがとうね」

 

【香椎玲音】
「当然だろ」

 

【百瀬つむぎ】
「俺もすげー楽しみにしてたからさ」

 

【月野原久遠】
「ああ、俺もだ!それにしても、まさか亜貴があんな提案をしてくるなんてな……」

 

+++

 

【香椎亜貴】
「みんな、集まってくれてありがとう」

 

【百瀬つむぎ】
「構わねーよ。まぁ、いきなり呼び出されて驚きはしたけどさ」

 

【香椎玲音】
「改まって何を話すんだ?亜貴がわざわざこうやってオレらを呼び出すなんて……大事なことなんだろ?」

 

【香椎亜貴】
「あのね……みんなを呼ばせてもらったのは……、」

 

【香椎亜貴】
「ハロウィンライブのことで手伝って欲しいことがあるからなんだ」

 

【月野原久遠】
「……!

 

【香椎玲音】
「構わないぜ!オレ達は何をすればいいんだ?」

 

【百瀬つむぎ】
「なんだよ。そんなにかしこまって言うから、もっとすげー大変なことかと思って身構えたじゃん」

 

【香椎亜貴】
「大変……かも」

 

【百瀬つむぎ】
「どーいうこと?」

 

【香椎亜貴】
「実は……ハロウィンライブのラストで、みんなにサプライズゲストとして出演してもらいたいんだ」

 

【玲音・つむぎ・久遠】
「サプライズゲスト!?」

 

【香椎亜貴】
「ジンさんやスタッフさん、それから夕星さんには相談済みで、事務所とやっくんにも了承を貰ってあるよ」

 

【香椎亜貴】
「だから、後はみんなの気持ち次第なんだけど――」

 

【香椎玲音】
「やるに決まってんじゃん!」

 

【百瀬つむぎ】
「とーぜん。それじゃ、どの曲をやるか早速決めよーぜ」

 

【月野原久遠】
「そうだな!」

 

【香椎亜貴】
「……!ありがとう、みんな……!」

 

【月野原久遠】
「な?みんな亜貴の力になれて嬉しいんだ。頼ってくれてありがとな」

 

【香椎亜貴】
「うん……!」

 

***

 

【香椎亜貴】
「夕星さん、この間相談させてもらったレヴァフェのゲスト出演の件ですが……」

 

【香椎亜貴】
「メンバーのみんなに相談したら、快くOKしてもらえました!」

 

【音石夕星】
「……ふーん、良かったねぇ」

 

【香椎亜貴】
「はい! 夕星さんも、僕のアイディアに賛成してくれてありがとうございました」

 

【音石夕星】
「別にぃ~?レヴァフェが登場したら、新人バンドの連中もお客さん達も喜ぶだろうなって思っただけだしぃ~」

 

【音石夕星】
「ん~……でも、せっかくならもっと賑やかにしたいよねぇ。僕もうちのメンバー呼んじゃおっかな♥」

 

【香椎亜貴】
「えっ、ほ、本当に……!?」

 

+++

 

【香椎亜貴】
「みんながライブに登場してくれたら、すっごく盛り上がると思う」

 

【香椎亜貴】
「出演してる新人バンドの皆さんにとっても、忘れられない思い出になるんじゃないかって思うんだ!」

 

【香椎亜貴】
「だからみんな……本当にありがとう。その上、ステージの準備まで手伝ってもらっちゃって……」

 

【香椎玲音】
「仲間を助けるのは当然だろ。それに、亜貴はオレの兄貴なんだからな」

 

【百瀬つむぎ】
「玲音だけじゃ大して役に立たなさそーだし?」

 

【香椎玲音】
「なんだと!?つむぎぃ~、もう一回言ってみろ!」

 

【百瀬つむぎ】
「一回だけじゃく何百回だって言ってやってもいーけど~?」

 

【月野原久遠】
「こーら、お子様ズ!あんまり騒ぐなよ?手伝いに来てるのに、他のスタッフさん達の迷惑になってたら元も子もないからな」

 

【香椎玲音】
「そうそう。口の悪いつむぎなんてほっといて、準備進めようぜ」

 

【百瀬つむぎ】
「誰の口が悪いって?」

 

【月野原久遠】
「おいおい。亜貴の足を引っ張りに来たのか?元気が有り余ってるお子様ズは向こうで力仕事でもしような~。ほら、来い」

 

【香椎玲音】
「ぐぇ!引っ張るな久遠!」

 

【百瀬つむぎ】
「なんで俺まで!離せペンギン頭!」

 

【香椎亜貴】
「ははは……僕は本当にいい仲間に出会えたな……」

 

***

 

【香椎亜貴】
「ふぅ……ここはこんな感じで大丈夫かな?とりあえずこっちは完成っと……」

 

【音石夕星】
「あーちゃん♥そこらへんはもういいからさ、これもお願い」

 

【香椎亜貴】
「え、これって……」

 

【香椎亜貴】
(僕が描いたハロウィンイラストの……!)

 

【香椎玲音】
「うわ!なんだそれ?」

 

【香椎亜貴】
「あ、えっと……、」

 

【百瀬つむぎ】
「亜貴、まさかそれ……」

 

【月野原久遠】
「亜貴が……?」

 

【香椎亜貴】
「う、うん。僕が描いたカボチャのランタンなんだけど、夕星さんが、小道具係のスタッフさんに作ってもらってたみたい」

 

【音石夕星】
「どう? よくできてるでしょ」

 

【香椎玲音】
「心なしか……、」

 

【百瀬つむぎ】
「見てると不安になってくる……」

 

【月野原久遠】
「ず、ずいぶんまた、個性的だな……」

 

【月野原久遠】
(これは……不採用でも仕方なかったな……)

 

【月野原久遠】
「ん?亜貴は、デザインは不採用になったって言ってたよな?」

 

【音石夕星】
「えー?だってせっかくあーちゃんが描いたのに、みんなに見てもらえないなんてもったいないでしょ。記念だよ♥」

 

【百瀬つむぎ】
「……絶対面白がってるな」

 

【香椎玲音】
「ゆーせーだしな……」

 

【月野原久遠】
「ははは……亜貴の感性には驚かされるな」

 

【香椎玲音】
「でも、ハロウィン感あっていいんじゃねーの?」

 

【百瀬つむぎ】
「まー、味はあるよな」

 

【香椎亜貴】
「本当……!?じゃあ僕、もっと自信を持ってもいいのかな?」

 

【久遠・玲音・つむぎ】
「え?」

 

【香椎亜貴】
「そうだよね、一回不採用になったからって諦めちゃダメだよね。次にこんな機会があった時は採用してもらえるよう、頑張るね!」

 

【百瀬つむぎ】
「……なんか変な自信持ったみたいだけど、アレいいの?」

 

【月野原久遠】
「う、うーん……まあ、クヨクヨしてるよりはずっといい……と思うぞ!うん!」

 

【香椎玲音】
「ま、それもそうだな。頑張れよー、亜貴!」

 

【香椎亜貴】
「うんっ!」

 

【月野原久遠】
「さーて、このランタンは俺達で運ぶよ」

 

【香椎亜貴】
「え、いいの?」

 

【香椎玲音】
「亜貴達もうハロウィンの衣装着てんじゃん。その格好で運ぶの大変だろ?」

 

【百瀬つむぎ】
「そうそう。亜貴のことだし、その包帯踏んで絶対転ぶよな」

 

【香椎亜貴】
「転ばないよ……!でも安全の為に言ってくれてるんだよね。じゃあ、お願いしちゃおうかな」

 

【香椎玲音】
「おう、どこに運べばいいんだ?」

 

【香椎亜貴】
「えーと、じゃあ――」

 

***

 

【香椎玲音】
「改めてまじまじと見ると……何ていうか……」

 

【百瀬つむぎ】
「この目の部分なんて、近くで見てると吸い込まれそう……」

 

【月野原久遠】
「小道具係のプロ根性を感じるな……」

 

***

 

【音石夕星】
「あーちゃん良かったね、あいつらが来てくれて。メンバーだけあって、あーちゃんのことよく見てる。大切にされてるね」

 

【香椎亜貴】
「……!はい!みんなにはいつも感謝してるんです」

 

【香椎亜貴】
「僕の自慢の仲間達です」

 

【音石夕星】
「ふぅーん」

 

【香椎亜貴】
「でも、アッポリの皆さんにも感謝してます。夕星さんだけじゃなく、僕のことまで気にかけてくれて、皆さんいい人ですよね」

 

【音石夕星】
「ん~?亜貴がそう思うならそうなんじゃない?」

 

【香椎亜貴】
「……夕星さんは、そう思わないんですか?」

 

【音石夕星】
「一緒に音楽やるのにいい人か悪い人かなんて関係ないよ。必要か、必要じゃないかだけ」

 

【香椎亜貴】
「えぇ、そんなことは……、」

 

【音石夕星】
「あいつらには僕が必要で、僕にもあいつらが必要。サイコーの音楽をやるために」

 

【音石夕星】
「だから僕はapにいる。僕自身があいつらを選び続ける限り」

 

【香椎亜貴】
「……夕星さん」

 

【音石夕星】
「さてと、始まる前に僕、タバコとキスしてくるね~♥」

 

【香椎亜貴】
「あ……いってらっしゃい……」

 

【香椎亜貴】
(言い方はあんな風だったけど、夕星さんも、アッポリを大切に想ってるってこと……だよね?)

 

【香椎亜貴】
(本当に、掴みきれない人だな。意地悪だけど、優しくて……心の奥底を見透かされてるように感じるときもある)

 

【月野原久遠】
「亜貴」

 

【香椎亜貴】
「久遠。あれ?玲音とももちゃんは?」

 

【月野原久遠】
「今あっちで亜貴のランタンと写真を撮ってるよ」

 

【香椎亜貴】
「そ、そうなの?なんだか恥ずかしいなぁ……」

 

【月野原久遠】
「はは。せっかく形になったんだから、ってな。あいつらも楽しそうに撮ってるぞ」

 

【月野原久遠】
「それより……なあ、さっき夕星に何か言われてたみたいだけど、大丈夫か?」

 

【香椎亜貴】
「あ……」

 

【香椎亜貴】
(もしかして、僕を心配して来てくれたのかな……)

 

【香椎亜貴】
「うん、大丈夫だよ。実はね、レヴァフェのみんなを褒めてくれてたんだ!」

 

【月野原久遠】
「え、夕星が俺達を……?」

 

【香椎亜貴】
「うん。だから、自慢のメンバーですってのろけちゃった」

 

【月野原久遠】
「あはは!亜貴が俺達のことをのろけてたなんて、あいつらが聞いたら喜ぶだろうな」

 

【香椎亜貴】
「ふふっ、そうかな?そうだったら僕も嬉しいよ」

 

【月野原久遠】
「……夕星ってさ」

 

【香椎亜貴】
「……?」

 

【月野原久遠】
「なんとなく亜貴に似てる気がするんだよな」

 

【香椎亜貴】
「え?」

 

【月野原久遠】
「ハッキリとした理由は言えないけど、なんとなくな」

 

【香椎亜貴】
「……」

 

【月野原久遠】
「さて、準備再開するか!ハロウィンライブ、成功させような!」

 

【香椎亜貴】
「うん!」

 

 

 

END