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『天邪鬼なハロウィンデビル』

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※ハロウィン　メインシナリオからの一幕になります

 

――インクル・ナイトメアパーティーを終えて……。

 

【ジン】
「全員お疲れ様。最高だったぜ！今日は好きなだけ食って飲んでくれ」

 

【全員】
「カンパーイ！！」

 

【天城成海】
「本当、今日はすっごく楽しかったね！衣装も個性的で、着てても見てても楽しかったよ」

 

【青井有紀】
「俺は夕星がMCをやるって聞いて、少し落ち着かなかったな」

 

【青井有紀】
「冷や冷やしっぱなしでさ。心臓に悪すぎる……」

 

【天城成海】
「もしかして、有紀がライブの途中でスタッフさんと話をしてたのって……」

 

【青井有紀】
「ああ、ステージの袖で待機していいかって交渉してたんだ」

 

【音石夕星】
「なーにそれ、僕のこと信用してないの？」

 

【青井有紀】
「逆だよ。信用してるから、近くで見ていたかったんだ。お前はそう思ってないかもしれないけど、せっかくのメンバーの晴れ舞台だからな」

 

【音石夕星】
「……あっそ。で、ゆっけは満足したわけ？」

 

【青井有紀】
「あい♥」

 

【黒沢忍】
「俺は夕星が亜貴を困らせてばかりいないか心配でならなかった。お前、亜貴にだけ態度が違うときがあるだろう」

 

【音石夕星】
「人聞き悪いなぁ～。人をいじめっこみたいに言わないでよね。可愛がってあげただけで～す」

 

【黒沢忍】
「お前の『可愛がる』は一般的なものと違う自覚はあるか？亜貴は人がいいから、嫌だ、と言わないだろうしな」

 

【青井有紀】
「そうだな。今度飲みにでも誘って、もてなしてやるとするか」

 

【黒沢忍】
「それは有紀が楽しいだけだろう。それに、亜貴は酒に強くない」

 

【青井有紀】
「えー……しょんぼり」

 

【音石夕星】
「どっちでもいいけど、僕をだしに使わないでよね～」

 

【天城成海】
「あ、でも本当に夕星、頑張ったと思うよ！この衣装も、お客さん達みんなすっごく喜んでくれたし！」

 

【青井有紀】
「確かにな。センスも抜群だった。さすが夕星」

 

【黒沢忍】
「ああ。それぞれスタッフが付いていたとは言え、この量をまとめた事には驚いた」

 

【音石夕星】
「取ってつけたように褒められても嬉しくないですー」

 

【天城成海】
「も～、素直じゃないんだから……あ！亜貴にぃ！」

 

【香椎亜貴】
「お疲れ様、成海ちゃん。あ、あの……！夕星さんっ」

 

【音石夕星】
「ん？なぁに～、あーちゃん♥」

 

【香椎亜貴】
「えっと、その……、」

 

【ジン】
「よぉ、お２人さん！お疲れ様だったな！」

 

【音石夕星】
「あ、オーナーだぁ～」

 

【香椎亜貴】
「お疲れ様です！」

 

【ジン】
「今回のナイトメアパーティが大成功したのは夕星と亜貴のおかげだな」

 

【ジン】
「ステージ、衣装、それに店内の装飾も好評だったし、MCのおかげでステージがさらに盛り上がってた」

 

【ジン】
「何から何まで、最高だった！感謝してるぜ」

 

【香椎亜貴】
「いえ、そんな……！」

 

【ジン】
「それにしても、自分のバンドに声をかけてサプライズゲストとして登場させたのには驚いた！」

 

【ジン】
「お前達の事務所はよく出演許可出してくれたな？あとで久臣にもきちんと礼をしねぇとな」

 

【音石夕星】
「まあ、うちの事務所ってそういうの大好きだからねぇ」

 

【香椎亜貴】
「演奏もMCも、緊張しすぎてちゃんとできていたか不安でした……。でも、皆さんが喜んでくれたみたいで良かったです」

 

【ジン】
「ああ。どっちも何も問題なかったぞ。ほら、飲め飲め！本日の主役が飲まないでどうする！朝まで飲むぞー！」

 

【音石夕星】
「いえーい♪カンパーイ！」

 

【香椎亜貴】
「は、はい……！」

 

【音石夕星】
「……亜貴」

 

【香椎亜貴】
「……！」

 

【音石夕星】
「まーたそんなカシオレちまちま飲んで……」

 

【音石夕星】
「昨日は本番前だったからノンアル渡したけどさ……。もう本番も終わったことだし、優しくしてあげるのもここまでだからね？」

 

【香椎亜貴】
「え！？え、えっと……！」

 

【音石夕星】
「ほら、かんぱーい♥」

 

【香椎亜貴】
「か、乾杯……！」

 

【黒沢忍】
「こら、夕星。あまり無理に飲ませるな。さっきも言っただろう、亜貴は……」

 

【音石夕星】
「あーちゃんは大丈夫だもんね～？“今夜”は♥」

 

【香椎亜貴】
「えっと……は、はい」

 

【黒沢忍】
「……亜貴が大丈夫ならいいんだが。無理をする必要はないからな。何かあれば声をかけてくれ」

 

【香椎亜貴】
「はい、ありがとうございます」

 

【ジン】
「忍、ちょっといいか？」

 

【黒沢忍】
「はい。……夕星」

 

【音石夕星】
「わかってるよ。ほどほど、でしょ」

 

【黒沢忍】
「……はぁ、それならいい。また後でな」

 

【香椎亜貴】
「……夕星さん……あ、あの――」

 

【音石夕星】
「んー……ここ、人多くてうるさいね。僕、外でタバコ吸ってこようかな」

 

【音石夕星】
「あーちゃんも静かなとこのほうがいいでしょ。外の空気、吸ってきたら？」

 

【香椎亜貴】
「え？？あ、はい……！」

 

＊＊＊

 

【音石夕星】
「はー……さっむ」

 

【香椎亜貴】
「この間まであれだけ暑かったのに……季節が移ろうのは早いですね」

 

【音石夕星】
「夏だけ日本じゃないどこかで過ごしたいって思ったー」

 

【香椎亜貴】
「あはは。分かります」

 

【音石夕星】
「あーちゃん、今日は楽しかった？」

 

【香椎亜貴】
「はい！とっても楽しかったです」

 

【音石夕星】
「ふ……」

 

【音石夕星】
「じゃあ、今夜はあーちゃんを思いっきり酔わせちゃおうかな～♥」

 

【香椎亜貴】
「ええ！？」

 

【音石夕星】
「昨日はお酒が苦手なあーちゃんのために、ウーロンハイと見せかけたウーロン茶を渡してあげたけどぉ～。」

 

【音石夕星】
「その分も、今日はたーっぷり飲んでもらうからね」

 

【香椎亜貴】
「た、たっぷりって……？」

 

【音石夕星】
「そうだねー。ゆっけみたいに、ビールこぼすくらいかな」

 

【香椎亜貴】
「ええ！そんなにですか……！？でも、さすがにこぼしたりはしませんよ？」

 

【音石夕星】
「え～、わっかんないよー？酒は人を変えるって言うし、意外なあーちゃんが見れるかもね」

 

【香椎亜貴】
「そんなの見なくていいですから」

 

【音石夕星】
「照れてるのー？あーちゃん可愛い～」

 

【香椎亜貴】
「あ、あの……夕星さん！」

 

【音石夕星】
「ん？」

 

【香椎亜貴】
「今回のハロウィンライブ……本当に、いろいろとありがとうございました！！」

 

【音石夕星】
「……」

 

【香椎亜貴】
「ジンさんに声を掛けられたのが、僕ひとりだけだったら……何もできなくて、途方に暮れるばかりだったと思うんです」

 

【香椎亜貴】
「あんな素敵な衣装も、ステージやフライヤーのデザインも、僕じゃ到底考えつかなかった」

 

【香椎亜貴】
「MCだって……夕星さんが隣にいてくれたから、最後までやり通せたんです」

 

【香椎亜貴】
「今回のライブが成功したのは、夕星さんのおかげです。だから……ありがとうございました！」

 

【音石夕星】
「……」

 

【香椎亜貴】
「あの、夕星さん？」

 

【音石夕星】
「……ああ、なんだかんだ楽しかったからいいよ、お礼なんて。困ってる亜貴を見てるのも楽しくて飽きなかったしさ」

 

【香椎亜貴】
「夕星さん……」

 

【香椎亜貴】
「夕星さんの……突拍子もない行動とか、突き放したような物言いとか……そういうのに、困ったり、戸惑うこともあったりしますけど」

 

【香椎亜貴】
「でもそれって、全部僕のために言ってくれてるんですよね」

 

【音石夕星】
「は……？」

 

＋＋＋

 

【香椎亜貴】
「あの、夕星さん……」

 

【音石夕星】
「ん？」

 

【香椎亜貴】
「あの……言いたいことは全部ちゃんと言えって、僕もよく怒られます」

 

【香椎亜貴】
「だから……気持ちははっきり口した方が、夕星さんの周りの皆さんも喜ぶと思います。成海ちゃんとか！」

 

【音石夕星】
「……あのさ、あーちゃん。僕、そんな話、一言もしてないと思うけど？」

 

【香椎亜貴】
「す、すみません。でも……」

 

【香椎亜貴】
「夕星さん、自分の気持ちを正直に言うべきかどうか迷ってるみたいな顔に見えたので――」

 

【音石夕星】
「……」

 

＋＋＋

 

【音石夕星】
（――あの時も思ったけど、前の亜貴は、僕に似た弱さを持ってるから……嫌いだった）

 

【音石夕星】
（似てるからこそ、僕が心の奥に隠してるものまで亜貴には全部見透かされてる感じがして……気持ち悪かった）

 

【音石夕星】
（でも、今回こうやって長い時間を一緒に過ごしたことで、改めて確信させられちゃったな）

 

【音石夕星】
（亜貴はもう、以前の亜貴のままじゃない。ちゃんと成長してる……って）

 

【香椎亜貴】
「夕星さん？あ、あの僕、何か変なこと――」

 

【音石夕星】
「ねぇ、あーちゃん。僕さ……」

 

【音石夕星】
「今のあーちゃん、嫌いじゃないよ」

 

【香椎亜貴】
「……！」

 

【香椎亜貴】
「あ……えっと、じゃあ……今までは嫌いだったってことですか？」

 

【音石夕星】
「うーん、そだね。前のあーちゃんはだいっきらい」

 

【香椎亜貴】
「そうですか。僕も自分のことが好きになれませんでした……やっぱり僕達、似てますね」

 

【音石夕星】
「……そうだねぇ」

 

【音石夕星】
（他人に見せる性格は、こんなにも違うのにね……）

 

【音石夕星】
「じゃあ、寒いし戻ろっか～」

 

【香椎亜貴】
「あ、ま、待ってください……！」

 

＊＊＊

 

【ジン】
「お、どこ行ってたんだ？今みんなで写真を撮ってたんだ。主役がいないとしまらないぞ」

 

【音石夕星】
「写真？」

 

【ジン】
「ああ。広報で使いたいって、久臣に頼まれてな」

 

【音石夕星】
「じゃー僕はあーちゃんと撮るぅ♥あーちゃん、こっち来て」

 

【香椎亜貴】
「わ、わ！いきなり引っ張ったら危ないですよ……！」

 

【香椎亜貴】
「えっと……？」

 

【音石夕星】
「写真撮るんだって～」

 

【香椎亜貴】
「え！写真！？」

 

【音石夕星】
「ははっ。あーちゃん、顔真っ赤だよ～？」

 

【ジン】
「ほら、撮るぞー！」

 

【音石夕星】
「僕ばっか見つめるあーちゃんも悪くないけど、今はカメラ見てあげな」

 

【香椎亜貴】
「あ、はいっ！」

 

【ジン】
「はは、いい写真撮れたんじゃないか？でも広報に使うなら、きちんと並んでるやつも必要だろうな」

 

【香椎亜貴】
「そ、そうですね」

 

【音石夕星】
「そうそう、ほーらぁ」

 

【香椎亜貴】
「そんなにくっつかなくても……！」

 

【音石夕星】
「なんでー？別にいいじゃん。記念だよ、記念。ほら、にっこりして～」

 

【天城成海】
「あー！　亜貴にぃをいじめたらダメって言ったのに！」

 

【音石夕星】
「いじめてないよ～！仲良しだもんねぇ～？」

 

【香椎亜貴】
「え？」

 

【音石夕星】
「ねー」

 

【香椎亜貴】
「は、はい！」

 

【天城成海】
「えー、本当に……？」

 

【香椎亜貴】
「大丈夫だよ、成海ちゃん。心配しないで？」

 

【音石夕星】
「そうそう、なるなる心配しすぎー」

 

【天城成海】
「そっか……。今回のハロウィンを通じて、２人とも仲良くなったんだね！」

 

【天城成海】
「大好きな２人が仲良くなってくれて、俺嬉しいよ！」

 

【音石夕星】
「そういうところ、なるなるらしいよねぇ……」

 

【香椎亜貴】
「ふふ。そうですね」

 

【音石夕星】
「あーくお、ちょうどいいところにいたー」

 

【月野原久遠】
「ん、夕星？どうした」

 

【音石夕星】
「写真撮ってー。３人の写真。僕真ん中ね♥」

 

【月野原久遠】
「おお、いいぞ。じゃ、３人とも並んでー」

 

【青井有紀】
「あれは両手に天使の悪魔？というより、天使に囲まれた悪魔って感じか？」

 

【黒沢忍】
「……否定はしない」

 

【香椎玲音】
「あーずりぃぞ！オレもオレも！」

 

【香椎玲音】
「なあ、オレも一緒に写っていいだろ？」

 

【音石夕星】
「別にいいよー」

 

【百瀬つむぎ】
「玲音、室内を走るなよ……」

 

【音石夕星】
「あれぇ？つむも僕と撮りたい～？」

 

【百瀬つむぎ】
「夕星が俺と一緒に撮りたいなら、そーしてやってもいーよ」

 

【音石夕星】
「はは！つむ生意気～♥」

 

【月野原久遠】
「行くぞー！はい、チーズ」

 

【夕星・亜貴・成海・玲音・つむぎ】
「イエーイ！」

 

【月野原久遠】
「うん、バッチリだな。そうだ、レヴァフェでも写真撮ろうぜ」

 

【百瀬つむぎ】
「そうだな」

 

【香椎玲音】
「いいな！　亜貴は今日の主役だから真ん中な！」

 

【香椎亜貴】
「う、うん」

 

【青井有紀】
「じゃあ俺が撮ってやるよ」

 

【香椎亜貴】
「ありがとうございます！」

 

【青井有紀】
「じゃあいくぞー？はい、チーズ！！」

 

 

 

【音石夕星】
「……」

 

【天城成海】
「夕星？どうしたの？」

 

【音石夕星】
「なんでもなーい」

 

【天城成海】
「そう？じゃあ、俺達も４人で撮ろっか！」

 

【音石夕星】
「Okay♥」

 

【音石夕星】
（……いい顔してるじゃん。お疲れ様、亜貴）

 

 

 

END