【美羽】「あ! 成海君の頭に、花びらついてるよ」
【成海】「えっ、本当?」
成海君は、慌てて取ろうとしている。
【美羽】「待って。私が取ってあげるよ」
成海君の頭へ手を伸ばして、花びらを掴む。その時、大量の花びらが舞い落ちてきた。
【成海】「うわっ! な、何これっ?」
【夕星】「これだけたくさんあれば、掴めるでしょ」
【成海】「これ、夕星がやったの? もー……花びらまみれになっちゃったよ」
言葉通り、花びらに覆われるような成海君の姿に――。
【美羽】「成海君、桜の天使みたい」
【成海】「えぇ~、美羽ちゃんも天使なんて言うの?」
【美羽】「あ! ご、ごめんね。桜を背負ってる成海君がそう見えて……」
【美羽】「天使って呼ばれるの、嫌だったよね。でも、なんか成海君がキラキラしてたから」
【成海】「美羽ちゃんになら言われても気にならないよ。あ、でもそれなら……」
成海君が自分の上に乗った花びらを取ると、私の上に降らせた。
ひらひらと、目の前で花びらが舞う。
【成海】「はい、お揃い。俺が桜の天使なら、美羽ちゃんは桜の妖精だね」
【美羽】「っ!」
あまりに優しく微笑むから、恥ずかしくて……耳まで熱くなっていくのを感じた。